認定NPO法人テラ・ルネッサンスの活動内容について|ウガンダ事業

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ウガンダ事業

 

 

2005年より駐在スタッフを派遣し、ウガンダ北部で元子ども兵(元少年兵)に対する社会復帰プロジェクトを開始しました。これまでに192名の元子ども兵の社会復帰を促進し、 元子ども兵の受け入れ家族約1,000名への生活支援を実施してきました(2017年2月現在)。また、ウガンダ小型武器行動ネットワーク(UANSA)と協働して、一般市民への不法小型武器問題の啓発活動なども行っています。

 

 

目次

1. なぜウガンダなの? 

2. テラルネの取り組み

3. メッセージ

4. 活動の成果

 

1. なぜウガンダなの?

 

 

アフリカの東部に位置するウガンダでは、1980年代後半から内戦が始まり、反政府組織「神の抵抗軍(LRA:Lord’s Resistance Army)」と政府軍が20年以上にわたって戦闘を繰り広げました。内戦中には、「神の抵抗軍」によって3万人以上もの子どもたちが誘拐され、男の子であれば戦闘の最前線に駆り出されたり、また女の子であれば兵士と強制結婚をさせられたりなど、その多くが壮絶な経験をしてきました。中には、平均年齢が13歳の子ども兵だけの軍隊も作られていました。2006年8月に「神の抵抗軍」とウガンダ政府の間で停戦合意が結ばれましたが、最終的な和平合意には至っておらず、2017年現在でも「神の抵抗軍」は隣国のコンゴ民主共和国東部や中央アフリカ共和国で活動を続けています。停戦合意に伴いウガンダ北部の治安は少しずつ回復し、現在では一時期200万人以上いた国内避難民の帰還も完了していますが、多くの元子ども兵が精神的・肉体的なトラウマを抱え、社会復帰するのに困難な状況に置かれています。中には10年、15年もの間「神の抵抗軍」に拘束されてきた者もおり、このような状況で帰還した元子ども兵たちは、身体的、精神的に大きな傷を抱え、自主努力では基本的な衣(医)食住を満たすことすら難しいのです。

 


また、戦うことしか教えられてこなかった元子ども兵たちは、幼い頃に誘拐されたがために基本的な教育も欠如しており、職業技術も無いため、仕事に就くこともできず、経済的に大きな困難を抱えています。地元の村々での襲撃にも加担させられてきた元子ども兵たちは、帰還後、地域住民から加害者とみなされ憎しみの対象になることもあり、社会的にも脆弱な状況に置かれています。中には、帰還後に路上生活をすることになったり、酒におぼれたり、再び軍隊へと戻ってしまったりする元子ども兵もいるのです。よく言われることですが、「被害者であり、そして加害者でもある」という言葉に、元子ども兵が社会復帰することの難しさが詰まっているでしょう。

 

完了したプロジェクトはこちら(現在調整中です)

 

 

 2. テラ・ルネッサンスの取り組み

 

 

 

テラ・ルネッサンスが行う元子ども兵社会復帰支援プロジェクトでは、「3年間で元子ども兵が社会復帰するために、必要な能力を身につけ経済的に自立すると共に、地域住民との関係を改善しながらコミュニティで安心して暮らせるようになる」という目標を掲げています。当会では、グル県で活動するNGOと連携し、ウガンダ政府管轄の帰還施設に受け入れられ、集落に帰還した元子ども兵を対象にプロジェクトをおこなっています。


元子ども兵の社会復帰に必要な科目をカリキュラムに組み入れ、プロジェクト目標達成のために下記4つの活動を通して包括的に支援しています。また、元子ども兵と近隣住民の和解促進、関係改善のために貧困層の近隣住民も受け入れ、元子ども兵と共に平和教育や和解促進のためのワークショップなども行っています。

 

 

 

■ BHN支援活動

 

 

プロジェクト前半のフルタイム訓練期間中、受益者とその家族の状況に応じて毎月の食費と医療費をクーポンで配布しています。食費・医療費にのみ使用することが目的であるため、他の用途に使われないよう、現金ではなくクーポン券で配布しています。クーポン券は受益者各自の近くの食料品店、地域の診療所でのみ使えるよう当会と契約しており、そこで治療できない病気や怪我は総合病院や専門の機関で診療できるよう調整しています。また、受益者の状況に応じて、(チャイルドマザー*の)子どもの学費や家賃などの支援も行い、受益者が訓練に集中できるよう本人とその家族の生活を支援しています。

 

*チャイルドマザー…従軍中に出来た子どもを連れて帰還した元少女兵

 

 

■ 能力向上支援活動

 

 

受益者が収入向上活動を始めるために必要な職業技術、識字・計算能力などの能力向上のための訓練を行います。洋裁、手工芸、服飾デザイン、木工大工の4つの職業訓練科目と基礎教育(識字、算数、英語)や基本的な健康管理のクラスを開講しています。

 

 

■ 心理社会支援活動

 

 

「元子ども兵」と一概に言っても、それぞれ個別に悩みやトラウマの程度も様々なので、個別カウンセリングとグループカウンセリングのクラスの両方を開講しています。クラス活動では、音楽や伝統ダンスなどを行っています。


また、週に1回元子ども兵とその近隣住民を対象に平和教育の授業を開講。アチョリ民族(ウガンダ北部に住むナイル系民族)の伝統的な和解方法などを共に学ぶ機会を提供しています。受益者の状況に応じて、伝統的儀式を通して精神的な安定を図る取り組みも行っています。

 

 

■ マイクロクレジット支援活動

 

 

ビジネスのクラスを週1回開講し、貯蓄の重要性やビジネスの基礎的な知識など、マイクロクレジット*を使って収入向上活動をしていくために必要な知識、方法の習得を目指します。支援開始から約1年半経過を目処にマイクロクレジットを供与し、元子ども兵たちは収入向上活動を始めます。その間、定期的にビジネスに関する相談を受けます。

 

*マイクロクレジット…無利子無担保で小額の融資を行う金融サービス

 

 ■ 活動の成果

 

 

ウガンダでの支援を通じ、元子ども兵の平均収入が50倍以上(現地の公務員と同等の水準)に変化し、周りの人とのつながりが3倍に増えたことで差別や疎外感を感じることなく生活できるようになった人々の割合が増えました。また、自らの過去のトラウマと向き合い、現在の自分を受け入れるなどの自尊心が約1.7倍に変化するなど多くの変化がみられています。

  

完了したプロジェクトはこちら

 

■ メッセージ

 

 

 

1999年12月25日、マイクは当時10歳という幼さで、「神の抵抗軍」に誘拐されました。約11年の厳しい拘束期間を経て、2010年に政府軍によって救出され、欧米の大手NGOの支援を受けた後に、家族のもとへと帰還しました。


しかし、彼を待ち受けていたのは土地争いに起因する、家族(とりわけ祖母・父)からの差別・非難・嫉妬でした。また、当会を含め、数多くの支援機関が彼の社会復帰をサポートしていたことも、彼への嫉妬を生む原因となりました。特に、欧米の大手NGOの支援によって建てられた彼の家は、家族が住む家に比べると格段に大きく頑丈なものであったため、祖母はその家を「コニー」(「神の抵抗軍」指導者の名前)と呼び、嫌悪をあらわにしました。家族は彼を「裏切り者」と呼ぶようになり、祖母の命令で親戚の一人が建設中

だった家の壁を押し倒し、彼が命を落としかける、というような事態までも起こりました。

 

加えて、彼の頭には弾丸がいまだに残っており、社会復帰訓練中、これによる絶え間ない痛みを幾度となく訴えていました。当会のメディカルケアでは十分な処置ができず、大病院での手術が必要だったのです。

 

このように、精神的にも身体的にも大きな困難を抱えていたマイクですが、決して諦める事はありませんでした。彼は地域のリーダーに家族との間に起こっている問題を伝えるよう努め、解決の手助けを求めました。そして、当会と現地NGOの仲介により、2015年2月、村の評議会やクランのリーダーなども出席する大規模な会議の開催に至ったのです。会議では主に、あらゆる問題の原因となった土地争いについて話し合われました。彼の潔白も証明され、「裏切り者」のレッテルはもはや間違いである、という宣言もなされました。効果は即座に現れ、家族からの非難・差別はなくなったのです。そして、クランのリーダーによる土地問題の解決も約束されました。また、当会と他の現地NGOの連携により、頭に残る弾丸を取り除く手術が受けられるよう、彼のサポートをする事が決まりました。

 

2015年7月21日、彼の経営する店と家庭を訪問しましたが、家族みんなで笑顔に暮らしている様子がうかがえました。ビジネスに関しても、当会のマイクロクレジット支援を受けて始めた自身の店で、今では約6,000円の月収を得られるようになり(現地公務員の平均月収は約7,000円)、貯金も30,000円を超えています。さらに、2014年には結婚をし、2015年に入ってから赤ちゃんも生まれました。辛い過去を想像させない、とても幸せそうな、自信に満ちた笑顔を浮かべていました。

 

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