【カンボジア】現地の薬草を使った農業技術訓練
【アジアレポート/2019年3月_Topic02】
JICA草の根パートナー事業で、2017年から実施しているバッタンバン州カムリエン群での障がい者世帯への生計向上支援事業は、2019年3月で2年目が終わり、4月から3年目に入りました。
これまで家畜銀行で収入に1番になっているのが、ヤギ銀行。そのヤギを飼育する世帯は、対象となる100世帯中、83世帯にもなります。そのヤギと牛を飼育する世帯を対象に、現地の薬草や資材を利用して作る固形の栄養補給剤の製作訓練を実施しました。
同訓練は、1年目の45世帯を対象に、1年目に実施していましたが、すでに1年目に製作した補給剤は、牛やヤギが舐めきって、無くなってしまいました。
また、2年目の対象世帯には、まだ実施していませんでした。また、それと同時にヤギのなかに骨格が弱く立てなくなるヤギがいくつか現れていたため、必要な栄養素を補う補給剤の製作訓練を3月19日~21日にかけて実施することになりました。
飼育訓練を担当する農業専門家のスーン先生によれば、普段は草や木の葉などの植物を食べる牛やヤギですが、それだけ食べていると、必要な栄養素が足りなくなるそうです。
野生の動物は、こうした必要な栄養素を含む塩分などが含まれる土壌のところへ行って、土を舐めることで、必要な栄養素を補うそうです。
また、一昔前には、飼われていた牛が必要な栄養素がなくなると、人間の汗がついた洗濯物を舐めたそうです。飼育している家畜は、野生の動物のように自由に栄養補給ができる土壌に行くことが難しく、また、干している洗濯物を舐められるものも困ります。
そこで、この栄養補給剤を小屋の中に吊るして、必要な時に舐められるようにするのです。
材料は、カンボジアで手に入れる赤貝やシジミなどの貝殻、石炭、黒糖もしくはヤシ砂糖、糠、セメント、塩分の含まれた土、鉄くず、薬草の木など、11品目を細かく砕いて、混ぜ合わせ、セメントで固形にします。
1人でやるとかなり大変な作業ですが、グループで一緒にやることで楽しく、短時間で作ることができます。
初めて製作した障がい者の中には、「今までこうした栄養補給剤が牛やヤギに必要で、作り方は初めて知った」と話していました。そして、「他の家畜にも舐めさせたい」と話していました。
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記事執筆/
アジア事業部
江角 泰