【カンボジア】障がい者生計向上支援事業3年目に突入
【アジアレポート/2019年4月_Topic02】
JICA草の根パートナー事業として、2017年から実施しているカンボジア、バッタンバン州カムリエン郡での障がい者世帯への生計向上支援事業は、全3年9ヶ月の事業期間のうち2019年3月で2年目が終了し、4月からは3年目の活動に入ります。
2年目第四四半期のミーティングを関係するカウンターパート機関と4月1日に実施しました。
この四半期ごとのミーティングでは、事業を一緒に実施するバッタンバン州農林水産局、社会福祉・退役軍人・青年更生局、農業を専門とする現地NGO:CRDNASEと、これまでの進捗状況の確認と問題点の解決方法の話し合い、次期四半期のスケジュールを確認しています。
今回のミーティングは今年2月にカウンターパート機関と一緒に実施したモニタリング調査の結果から、現在の進捗を確認しました。
その報告によれば、家畜銀行の4つの家畜のうち、これまでのところヤギ飼育が一番の収入に結びついており、17世帯が合計35頭のやぎを販売し、全体でUS$2,275 (日本円にして25万円以上) の収入を得ています。
一方で、もう少し早く収入になることを見込んでいた鶏は、7世帯が43羽を販売し、US$360.5 (日本円にして約4万円) の収入を得ていました。
繁殖に時間のかかる牛とハリナシミツバチは、1年目の世帯から返却してもらい、2年目の世帯へ貸し出しを開始している途中で、まだ収入には繋がっていません。
ミーティングで報告のあった鶏の病気に関して、2018年後半から現地の薬草を用いた発酵薬を、グループで製作し、ストックし、常に使えるようにしたことで、全滅してしまうほどの急激に死亡する鶏は少なくなったとのことでした。
一方で、犬やイタチに食べられたり、近所で農薬が散布され、その影響を受けて死んだ鶏や、順調に飼育していた世帯でも泥棒に盗まれた世帯も数世帯いるとの報告でした。
またヤギも犬に噛まれたり、近所の人が除草剤を散布した草を食べてしまい死んでしまったヤギも報告されていました。
【モニタリング調査の結果をプロジェクターで共有している様子】
雑草もヤギや牛、鶏の餌になり、雑草の花もハリナシミツバチの大切な蜜源になります。
カンボジアの農村で、鶏が爆発的に死んでしまうことを、村人たちからよく聞いていましたが、その理由は必ずしも感染症や病気だけではなさそうです。
農薬を購入するにはお金がかかりますし、さらに収入源になる家畜も死んでしまいます。
土中に残り続ける農薬が人間に長期間にわたって悪影響を与えることを、受益者だけでなく隣人たちにも伝えていく必要性を確認しました。
3年目には、すでに貸し出された家畜の返却が終わっている世帯から、収入にさらに繋がっていくと考えられます。
まだ返却も終わっていない世帯など、個別に細かく確認しながら、各世帯が生計向上していけるよう、3年目の活動を実施していきたいと思います。
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記事執筆/
アジア事業部
江角 泰