【ウガンダ】「“雑音に耳を貸さず、ただ心を研ぎ澄ます事”。元子ども兵・現平和の担い手である男性の過去・現在・未来」(後編)
【アフリカレポート/2019年6月_Topic01】
ウガンダ駐在インターン河野が、元子ども兵・現洋裁訓練講師であるオケロさんとのインタビューについて報告します。南スーダン難民支援に携わる元子ども兵。
彼の過去・現在・未来とは?前編はこちら
―――河野:洋裁の技術を買われて、難民居住区にあるフィールド・オフィスでオケロさんは洋裁訓練講師に抜擢されたと聞きました。指導の際に何か意識していることはありますか?
オケロさん:新たな知識が体に馴染むまでには時間がかかりますので、わかるまで懇切丁寧に教える事を心がけています。背景は違えども、私も生徒も紛争被害者です。
プログラムの最初から最後まで、彼女たちに寄り添いたいと思っています。そして生徒には“辛抱強くいるように(Be patient)“と常々アドバイスをしています。
私たちのような紛争被害者が訓練に励んでいる間には、色々な“雑音”が入ってきます。雑音に耳を貸さずに、講師が示す技術・言葉の一つ一つに心を研ぎ澄ませる。そうすれば自ずと道は開けると私は信じているんです。
【着実に技術指導を行っているオケロさん。「指導に熱心なので尊敬できる」とある生徒は語る。教室には笑顔が絶えない】
―――河野:Be patientですか…。それはとてもいい言葉ですね。
17年間も子ども兵士として戦う事を強制されたのに、生きる希望を失う事もなく、今は自身が持つ技術を同じような境遇の人に教える。その力はどこから沸いてくるんでしょうか。
アフリカの人からすると驚くと思いますが、今の日本社会はとても生きずらいように私個人としては感じているんです。
例えば自殺。毎年2万人以上が自らの命を絶ち、未遂を含めると50万人にも及んでいます。
あなたのような人と話すと何かヒントがもらえそうな気がしているのですが…。
オケロさん:50万人ですか!?それは驚きですね…。私は日本のことをほとんど知らないのでアドバイスなどはできませんが、1つだけ言わせて下さい。
人生は神によって与えられており、直面する試練は全て乗り越えられるもの…。諦めず、“雑音”に耳を貸さず、すべきことに心を研ぎ澄ませる。一人のクリスチャンとして、そうすれば道は開けると私は信じています。私の生き方が何か参考になれば幸いです。
インタビューはいかがでしたか?
かつて自身を養うこともままならなかった元子ども兵が、訓練を経て家族・親戚を支えられるようになっただけでなく、今では南スーダン難民・経済的最貧困層の支援に携わる。
かつて銃を握った手は今、将来を切り拓く上で重要な技術を提供している。こうした“平和の循環“には大きな意味があり、今後の国際協力を考えるうえで多大な示唆を与えている。そのように私は感じています。
今月のウガンダ事務所からの報告、いかがでしたか?来月のウガンダ事務所の報告もお楽しみに!
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記事執筆/
ウガンダ駐在インターン 河野賢太