【コンゴ】食料を与えられる存在から、食料を供給する存在へ(前編)
【アフリカレポート/2019年6月_Topics02(前編)】
昨年度、国連開発計画(UNDP)とパートナーシップを組み、国内避難民や紛争で家族を失った女性たちへの自立支援を行いました。
計280名の対象者のうち、20名は農作物の一次加工技術を習得してもらい、その技術と知識により、現在、加工所を運営しています。
技術支援とともに、店舗運営や小規模ビジネスの方法、また、会計作業、相互扶助グループの組織化、行政機関への登録のための法的サポートなどを行ってきました。
受け入れ当時は、ほぼ全員、外部の援助がなくては衣食住を満たせない生活を送っており、いわゆる“食料援助”の対象者でした。
農作物の一次加工に取り組み始めた女性たちも、実際に、援助物資に頼って生活していた女性たちです。
これまでアフリカの紛争中・紛争後の地域で14年間、活動してきていますが、常に思うことは、こうした緊急援助の対象とされる方々の中にも、自らの力で働いたり、生産活動を行ったり、自立への意思と潜在能力を持っている人たちが多数いるということです。
残念ながら、難民居住区で長年にわたり物資支援に依存しきってしまい、そんな自立への気力を失ってしまう人たちも多数見てきました。
そんな中、この20名への自立支援を開始したわけですが、20名中18名は2017年以降の紛争で夫を亡くし、加えて、一人当たり平均1.1人の子どもを亡くし、0.3人の親兄弟を亡くしていました。
精神的にも大きな喪失感を持ち、絶望に近い状況であったにも関わらず、農作物の加工技術を学び、先月は、約2トンのメイズ(現地の主食)の加工を行い、約16万円の売上(利益は約6万円)を達成しました。
ほとんど、自活できずに、食料援助に依存していた彼女たちが、今は食料を供給する側となり、地元の人々やビジネスマンに主食製品を提供しています。
食料を与えられる(援助を受けるだけの)存在から、自らの力で生産活動を行い、自活できるようになったことは、彼女たちにとって、経済的な側面だけでなく、社会的、心理的にも大きな糧となっています。
しかし、前を向いて活動し始めた彼女たちには、今でも多くの困難が残っています。
どのような苦悩を乗り越えようとしているのか。後編は近日公開予定です!
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小川真吾