【夏季募金2019キャンペーン企画】悪魔の兵器「地雷」がもたらす貧困の連鎖
「娘たちが生きるための技術や知識を身につけられるよう、大学まで教育を受けさせたい。」
こう語るのは、テラ・ルネッサンスの技術訓練を受け、野菜の栽培に励む地雷被害者のチェン・ホウトさん。
ホウトさんは、カンボジア内戦で左足の足首を失い、膝下を切断しました。
看護の知識と技術を持つホウトさんは、プライベートドクターとして働く傍ら、野菜の栽培と養鶏を行っています。
1960年代後半のベトナム戦争に巻き込まれて以来、約30年に渡る戦闘状態が続いたカンボジアでは、「悪魔の兵器」と呼ばれる地雷が数多く使用されました。その数は、推定400万~600万個に及ぶとされ、埋設密度は世界一と言われています。
地雷埋設地域に住む人々は、換金作物の栽培や農作業の日雇い労働に収入を頼り、より高い賃金を得られるタイへと出稼ぎに行く人も少なくありません。
このように、日雇い労働や出稼ぎという不安定な収入により、子どもたちは十分な教育を受けられず、次世代に新たな貧困を生み出すことにつながってしまっています。
また、地雷埋設地域に住む人の中でも、最も困難な生活を強いられているのが地雷の被害者も含めた障がい者世帯の生活です。
収入源を多様化させることで、自立した生活を営み、安定した収入を得られるようになることで、このような貧困の連鎖を断ち切る必要があります。
このような状況に対して、テラルネッサンスは問題の根源である「地雷の撤去」と、その後の「生計向上支援」という2つの側面から問題にアプローチしています。
カンボジア地雷・不発弾撤去支援プロジェクト
現地の地雷撤去団体MAG(Mines Advisory Group:マグ)と協力し、撤去活動に必要な資金や資機材の提供を通して、地雷・不発弾撤去の推進を継続しています。
2018年4月~2019年3月の期間に、バッタンバン州サムロート郡の三か所の地雷原で、MAGの機械チームによって429,146㎡のといを整備し、29個の爆発物を除去しました。
カンボジア地雷埋設地域村落開発支援プロジェクト
地雷埋設地域の貧困削減を目的とし、収入向上支援と基礎教育支援を行っています。収入向上支援では、自治会の開催、家庭菜園の推進、家畜銀行の設立を行い、多様な収入源の獲得に臨んでいます。
また、現地の農作物を地産地消するシステムを導入するために、オーガニック野菜にこだわったファーマーズマーケットを設立しました。
基礎教育支援では、教育施設の建設・整備や小学校での補習授業を行い、2018年には、サムロン・チェイ村の小学校の屋根の補修工事が完了し、雨が降っても授業が受けられるようになりました。
ファーマーズマーケットの記事についてはこちら
家畜銀行(豚銀行)の記事についてはこちら
地雷埋設地域の脆弱な障がい者家族への生計向上支援プロジェクト
JICA草の根事業として、2017年からバッタンバン州カムリエン郡で障がい者世帯への生計向上支援事業を行っています。
最低限の居住環境の確保、農業技術の提供を目的として、家畜銀行(牛・ヤギ・鶏・ハリナシミツバチ)の設立、有機野菜栽培訓練の実施、家庭菜園の促進を行ってきました。
家畜の種類によって抱える問題もありますが、もともと持っている自然資源や人的資源を生かして生計を安定させ、生計向上に伴って子ども達を学校へ通わせることができるようになっています。
現在、テラ・ルネッサンスは夏季募金キャンペーン中です。
今回の夏季募金でいただくご寄付は、当プロジェクトだけではなく、アジア・アフリカで夢に向かって挑戦する受益者のために活用させていただきます。多くのみなさまのお力添えを心よりお願い申し上げます。
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記事執筆/
啓発事業部・インターン
中野 みなみ