【夏季募金2019キャンペーン企画】コンゴの豊富な資源が招いた皮肉な紛争
先日、コンゴ民主共和国のンテゥルマンバ村の洋裁店で働く女性たちから上記のメッセージをいただきました。この村では、昔、武装グループ(FDLR)が襲撃し、53名が一夜にして虐殺されました。その時の虐殺で、親を殺された女の子たちが、今、ここでビジネスを始めている受益者たちです。
ここで働く一人の女性は、「今、私は、ここでかけがえのない仕事を見つけることができました。そして、この小さな村で洋裁店を成功させて、いつか都会に出て、より大きいお店を開いてみせる、という夢もできました。」と語ります。
コンゴ民主共和国はアフリカ大陸のほぼ中央に位置し、面積は日本の約6倍、約8000万人の人々が住んでいます。
広大な熱帯雨林が広がり、コバルト(生産量世界第1位)、タンタル(同2位)を始め、銅、ダイヤモン、リチウム及びスズ等の鉱物資源に恵まれており、輸出品の約9割を石油・鉱物資源が占めています。[1]
しかし、この豊かな資源が原因となり、コンゴ民主共和国では、1998年以降540万人もの人々が紛争の犠牲になり、この数は第2次世界大戦後の紛争で最大となっています。
2002年に和平合意が結ばれたものの、それ以降もコンゴ東部では、脆弱な人々が常に犠牲になっています。住民たちは、政府軍、武装勢力双方から食料の略奪や村々の襲撃、女性への性的暴力を頻繁に受けています。
国連人口基金によると「1998年以降、推定20万人の女性と少女が性的暴力の被害を受けた」と言われています。5歳児未満の死亡率も1,000人中98名と依然高いままです。
また、コンゴ紛争中に、少なくとも3万人以上の子どもたちが兵士として徴兵され、戦いに駆り出され、精神的にも肉体的にも大きな傷を負っています。
教育等の機会を奪われた彼・彼女らの社会復帰も非常に大きな課題となっています。このような状況下で、地域住民は不安定な生活を余儀なくされ、地元の人々が持続的に安定した生活を再建していく為には、短期的な人道支援だけではなく、住民たちが自ら自立していくための長期的なサポートが不可欠です。
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[1]参考URL:外務省 コンゴ民主共和国 基礎データ (2019年8月10日参照)
このような課題に取り組むために、テラ・ルネッサンスは2018年度に5つのプロジェクトを行いました。
●元子ども兵及び紛争被害者エンパワーメント
洋裁ビジネスを開始するための資機材を供与し、対象者の居住地近隣の洋裁店への就職斡旋を行うとともに、近隣に洋裁店がない受益者に対して新規に洋裁店の設置・開業支援を行ったほか、店の運営方法やビジネスの個別指導を実施しました。
●分野横断型職業訓練センター建設及び紛争被害女性エンパワーメントプロジェクト
国連開発計画(UNDP)の協力のもと、新しく中央カサイ州にも事務所を開設しました。
そこで、対象者には3 つの職業訓練(農作物の一次加工20 名、パイナップルジュース作り50 名、石鹸作り50 名)を行い、それぞれの製品化と、ブランディング支援及び販売システムの構築を支援しました。
石鹸づくりのプロジェクトについてはこちら
パイナップルジュースのプロジェクトについてはこちら
農作物一次加工プロジェクトについてはこちら
● 紛争被害女性の生計向上支援フォローアッププロジェクト
昨年度の事業により設立された協同組合員を対象に、乳製品の販売促進のための生産技術の補完研修、必要な資機材の供与、組合の管理方法についての研修を実施しました。
● 元子ども兵・孤児への教育支援プロジェクト
対象者が小学校へ通うために必要な学費などを提供するとともに、対象者の受け入れ家族へ初等教育の必要性の理解を促す啓発活動を行いました。
● 子どもの徴兵予防プロジェクト
昨年度の事業により設立された協同組合員を対象に、乳製品の販売促進のための生産技術の補完研修、必要な資機材の供与、組合の管理方法についての研修を実施しました。
※各プロジェクトの詳細は2018年度年次報告書をご覧ください
現在、テラ・ルネッサンスは夏季募金キャンペーン中です。
今回の夏季募金でいただくご寄付は、当プロジェクトだけではなく、アジア・アフリカで夢に向かって挑戦する受益者のために活用させていただきます。多くのみなさまのお力添えを心よりお願い申し上げます。
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記事執筆/
啓発事業部・インターン
中野 みなみ