【夏季募金2019キャンペーン企画】なぜ不発弾汚染地域で養蜂支援なのか
ラオスのポンカム村で養蜂を営むカンプアさんは元々支援を受ける2年前から養蜂を行なっています。「大好きな養蜂を村の人にも広めたい」という思いから訓練を開始しました。
テラ・ルネッサンスの訓練により、「より多くの巣箱を作って収入を安定させたい。子どもを学校に行かせてあげたい。」という夢を持つようになったようです。
昨今、観光地としても大人気なラオスですが、今でもベトナム戦争時代の不発弾に苦しい生活を強いられています。
ベトナム戦争中(1964~73年)に、アメリカ空軍がラオスに投下した爆弾は、第2次世界大戦で両陣営がヨーロッパに投下したすべての爆弾よりも多かったのです。アメリカは9年間、8分ごとに爆撃線1機の割合でラオスを攻撃し、200万トン以上の爆弾が落とされました。
ベトナム戦争中にばらまかれた爆弾の不発弾が今の生活を不自由にさせているのですが、不発弾の大きな原因となっているのがクラスター爆弾です。
クラスター爆弾とは、上の写真のように1発の容器(親爆弾)に数個から数百個の小さな爆弾(子爆弾)が入った爆弾で、親爆弾が空中で開くと、たくさんの爆弾が広い範囲にばらまかれ、面で制圧することができるため、ベトナム戦争以降の多くの戦争や紛争で使われてきました。
中に入っている小爆弾はすべてが爆発する訳ではなく5%~30%が不発弾となり、戦闘が終わってからも不発弾が被害を与え続けることから、クラスター爆弾は「第2の地雷」と呼ばれているのです。
多くの不発弾が存在する地域では、土地の利用が制限され、危険な状態で農業を行わざるを得ません。
テラ・ルネッサンスでは、ラオスのベトナム戦争中に爆撃された不発弾が残るシエンクアン県において、安全に活動ができ、森林を保全しながら安定して収穫を得られる手段として、養蜂支援活動を行なっております。
近年ラオスでは商用作物を育てるために、多くの森林が破壊されてきているため、森林利用の代替となる自然資源を活用した産業を確立することも重要な視点です。
具体的には、テラ・ルネッサンスと株式会社坂ノ途中、神戸大学篠山フィールドステーション、現地農林局との産学官民協働で、養蜂技術支援、商品化、生産体制の構築、環境教育などの活動を実施しています。
2018年度は2017年度に比べ、はちみつの収穫量が3 倍から7 倍に増加しました。
収量の大幅な増加の背景には、ラオスの伝統的な巣箱に加え、このプロジェクトで導入した日本の重箱式巣箱をうまく使い分け、それぞれの巣箱の特徴の良さを活かして取り組んだことがあげられます。
収穫後は、シエンクワンの中心地に設立した養蜂センターにて、はちみつの製品化、販売を行っていきます。
養蜂組合メンバーをはじめとした村人たちの主体性が芽生え、養蜂、はちみつが持続可能な産業のひとつとして成立しつつあります。
現在、テラ・ルネッサンスは夏季募金キャンペーン中です。
今回の夏季募金でいただくご寄付は、当プロジェクトだけではなく、アジア・アフリカで夢に向かって挑戦する受益者のために活用させていただきます。多くのみなさまのお力添えを心よりお願い申し上げます。
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記事執筆/
啓発事業部・インターン
中野 みなみ