【カンボジア】より効率的で迅速にする地雷撤去支援〜4月-6月に東京ドーム2.8個分の地雷原を撤去〜
【アジアレポート/2019年8月_Topic01】
テラ・ルネッサンスではカンボジアでの地雷撤去支援を2001年から継続してきました。
当会では、2019年4月から地雷撤去団体MAG(Mines Advisory Group)のボブキャットという灌木除去をし、地雷撤去活動をする前に必要な、”土地の整備”をする機械チームの活動費を提供しています。
第一四半期4月-6月の報告書によれば、バッタンバン州サムロート郡での4ヶ所の地雷原で機械チームが活動し、地雷探知犬チームとの連携により132,264㎡の面積を撤去し、対人地雷1発と不発弾1発の危険物を除去しました。これにより159世帯、1,402名が受益しました。
【第5機械チーム、ボブキャットがチャムノッチ・スラエ・トラーチ1地雷原の土地整備を実施する様子】
132,264㎡は東京ドーム約2.8個分に相当します。この東京ドーム2.8個分の広さの土地から、2発の危険物(対人地雷1発、不発弾1発)しか除去されなかったことは、地雷の問題を表しています。
例え1発も地雷が見つからなかったとしても、そこに地雷があると村人たちが思っていれば、土地を使用することが制限されてしまいます。
地雷撤去では、地雷を何発撤去したかということも大切ですが、それよりもどれだけの土地を「安全にしたか」ということの方が大切です。
そして”安心して生活できる土地”を増やすということは、例えそこに地雷が無くとも、「地雷がない安全な土地だ」ということを確認する作業でもあります。
こうした地雷の汚染状況は、地雷撤去の事前調査(村人たちや、元兵士らへのインタビュー、過去の地雷事故)によって、ある程度分かっています。
地雷の汚染状況が低く広大な地雷原では、テラ・ルネッサンスの支援する機械チームと地雷探知犬チームの組み合わせが効果を発揮します。
地雷探知犬や金属探知機を使う手作業での地雷探知の前に、地雷原に生えている草木を除去する作業、これは地雷撤去で時間がかかる作業の1つです。
人々が入らない地雷原では、草木や棘のある竹などが生い茂っていることが通常です。これらをボブキャットという、遠隔操作で安全に除去できる機械を使うことで、迅速に、効率的に地雷撤去をすることができるのです。
この機械では地雷を撤去することはできませんが、万が一対人地雷を踏んで、爆発しても機械に影響はありません。一方で威力の強い対戦車地雷が使われている地雷原では、機械が壊れてしまうために、使用することはできません。
【ボブキャットという機械が整備した土地で地雷探知をする地雷探知犬 】
この機械チームとともに、地雷探知犬チームが整備された土地で活動することで、地雷探知犬は火薬の匂いをピンポイントで嗅ぎわけることができます。その結果、地雷の汚染度合いの低い場所では、非常に早く、広大な面積を撤去することができるのです。
ただ地雷密度の非常に高いところでは、逆に地雷探知犬が火薬の匂いがありすぎて混乱してしまうため、金属探知機を使用して手作業で撤去を実施しています。
こうしたMAGが持つ、地雷撤去のいくつかの方法を組み合わせた統合的な手法を用いて、その地雷原に合った最も効率的で迅速な方法を使って地雷撤去が進められています。
地雷がない安心して暮らせる土地を確保するために、今後もカンボジアでの地雷撤去のサポートを続けていきます。
※地雷撤去活動の詳細は、MAGからの第一四半期活動報告書をご覧ください。
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記事執筆/
アジア事業部
江角 泰