【ウガンダ】「ペンの握り方すら知らなかった私が、こうして勉強できることが嬉しい。」
【アフリカレポート/2019年10月_Topic01】
ウガンダ北部での元子ども兵社会復帰支援では、2019年7月下旬より約1年半、10期生42名に対して続いていく職業訓練が開始しました。
19名の元子ども兵、23名のウガンダ北部の最貧困層の方々が木工大工、洋裁の2分野に分かれて、日々職業訓練に励んでいます。
現在、洋裁クラスでは基本的なミシンの使い方や採寸の方法を学んでいます。
木工大工クラスは早くも実践講習が始まり、イスやテーブルを自分たちで作ることができるようになっています。
【木工大工クラス・職業訓練の様子】
その中で今月は、洋裁の訓練を受講している1人の元少女兵・スーザンさん(33歳・仮名)が語った過去・現在・そして未来についてお伝えします。
10代で誘拐されて以降、10年間武装勢力で拘束されていた彼女は、従軍中食べるものや住む場所も確保されない中で兵士の料理を作らされていました。
時には兵士から暴行を受けたり、銃で撃たれる危機に陥ったりと壮絶な経験をしながらも、激しい戦闘の中で子どもたちを抱えながら軍から逃れてきました。
いつも気さくに挨拶してくれる彼女ですが、訓練開始当初、日ごろの様子や表情から何か悩みを抱えているのではないかと思い、実は気にかけていました。
【元少女兵、スーザンさん(仮名)】
「テラ・ルネッサンスでの職業訓練が始まった時、不安な気持ちでいっぱいでした。10年間武装勢力に拘束されていた影響で教育を受けられなかった自分が、30歳を過ぎて、夫も戦死。5人の子どもたちを自分で育てていかなくてはいけない中、勉強するなんて、そんなことできるはずがないと多くの人からも反対されていたのです。」
【小さな子どもの面倒をみながら訓練に励むスーザンさん】
そんな不安や困難を抱えているスーザンさんですが、訓練に向かう姿勢は受益者の中でも目立って集中力が高いように思います。
「訓練開始から数か月。職業訓練は簡単なものではないけれど、少しずつ状況が変わってきました。10年間武装勢力に拘束されてペンの握り方すらわからなかった自分がこうして勉強できていることが本当に嬉しいです。少しずつ、洋裁・読み書きができるようになってきた今、気持ちは訓練に集中しています。」
たった一人で5人の子どもたちを育てながら、訓練に励むスーザンさん。最後に今の彼女の目標を聞きました。
「今の目標は町で優秀と評判な洋裁師として働くことです。5人の子どもたちが明るい将来を手に入れられるよう、教育を受けさせてあげたいです。」
困難を抱えながらも、前を向いて生きようとしている彼女の姿には勇気をもらいます。また彼女だけでなく受益者全員がそれぞれの困難を抱えながらも、自分の人生を変えようと日々奮闘しています。
12月頭から始まるクリスマスシーズンの長期休暇に向けて、7月下旬から始まった第1学期も終盤、引き続きそれぞれが目標に向けて、一生懸命訓練に励んでくれています。
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記事執筆
アフリカ事業部・インターン
田畑勇樹