【冬季募金2019キャンペーン企画】南スーダン難民の方々が抱える苦しみ、将来への希望
私はもう、南スーダンには帰らない
南スーダンでは2011年の独立以後、大統領派・元副大統領派からなる対立によって、和平合意に署名しては、対立を繰り返し、紛争が続いてきました。
2013年12月に紛争が勃発して以来現在にいたるまで、38万人以上が紛争の犠牲となり、多くの市民が、民家の放火・財産の略奪、性的暴行、子どもの誘拐に加え、深刻な食糧不足などに苦しんでいます。また難民となって国を離れた人数は220万人にも上ります。
中でもウガンダへ逃れた難民は83万人(2019年10月時点)にも及び彼らの中にはウガンダに避難しても、衣(医)食住・教育など「人間としての基本的ニーズ」を満たした生活が困難な人々もたくさんいます。
南スーダン難民であるクリスティンさん(仮名)は自身の過去をこのように語りました。
「南スーダンでは夫・子どもたちと家族平穏に暮らしていました。2016年に紛争が再発した際、逃げざるを得ない状況になってしまったので、家を出て、茂みの中で隠れながらウガンダまで逃れてきました。
しかし、ウガンダに逃れても、何もすることがなく、お金を得ることもできず、子どもたちの学費も払えず、ただ食糧支援だけを頼りに生きていました。
また逃げるのに必死で、何も持って来られなかったため、夫は調理器具やマットレスなどの日用品を取りに、南スーダンに戻りました。
ところが、それきり、夫が帰ってくることはありませんでした。
夫は軍に拘束されてしまいました。今はもう殺されてしまったかもしれません。今でも夜になると、夫のこと・紛争の記憶がフラッシュバックし、眠れなくなります。
南スーダンに平和が訪れたとしても、私はもう南スーダンには帰りません。」
このチャンスを掴んで、人生を変える
テラ・ルネッサンスでは、2018年2月より、パギリニア難民居住区内に施設を構え、南スーダンから逃れてきた難民の方たちに対して職業訓練・ビジネス開業支援を実施しています。
クリスティンさんは編み物の職業訓練を受けました。まだ訓練を受けていた当時、このようなことを語っていました。
「今は難民として他の援助機関から食糧支援を受け取っていますが、それはいつか終わるものです。だから私はこれから、身につけた編み物の技術で収入を得ていくことが重要なんです。このチャンスを掴んで、人生を変えたいです。」
そして12月より、ついに難民居住区内に編み物店を開業し、ビジネスを開始しました。
「まずは一人目のお客さんに自分の商品を買ってもらうこと、そうすれば自分の技術を多くの人に知ってもらい、たくさんのお客さんに来てもらえると思います。」と意気込みを聞かせてくれました。