【カンボジア】ハリナシミツバチの蜂蜜、カンボジアで初めての製品化へ準備
【アジアレポート/2020年1月_Topic01】
2019年12月24日にカンボジア王国バッタンバン州カムリエン郡にて、JICA草の根パートナー事業である障害者100世帯への生計向上支援活動の1つとして、ハリナシミツバチの養蜂研修を3年目の対象世帯へ実施しました。
1年目:5世帯、2年目:5世帯を対象に訓練を実施し、養蜂を開始していますが、3年目は18世帯と対象世帯を増やしました。
理由は、障害者世帯は、特に健康上の脆弱性を抱えている世帯が多く、牛やヤギなどの大型の家畜の飼育が困難になった世帯がいたからです。
元々は「牛を飼育したい」と飼育を始めた世帯でも、事業の途中から健康状態が芳しくなくなり、飼育を諦めるしかなくなった世帯もあります。
ヤギ飼育も同様、牛に比べると体力は必要としませんが、飼育者である障害者のなかには、怪我の影響で痛みの再発や別の病気を併発している世帯もあり、「元気だったら収入にも早く繋がるのでヤギ飼育をやりたいけれども、諦めるしかない。」という世帯もいました。
こうした世帯にハリナシミツバチの養蜂はうってつけです。ミツバチの個体自体も小さいですが、巣箱も小さいため、持ち運びも簡単。
また、普段は外敵となる蟻、トカゲ、ヤモリ、トンボ、カエルなどが巣箱の周りにいないか確認するぐらいで、あとはミツバチたちが、天気のいい日はよく働いて、蜜を集めてくれます。
鶏飼育と組み合わせて、2つ以上の収入源を確保するのによく、大型の家畜を諦めた世帯に説明をして、やりたいと言ってくれる人たちが大半でした。
乾季となったカンボジアでは、今の時期にたくさんの花が咲き、ミツバチたちも多くの蜜を集めてくれます。繁殖も活発となり、分蜂をして、巣箱を増やしていく作業を農業の専門家とともに実施しています。
1月には、マレーシアの会社からハリナシミツバチの蜂蜜を購入したいという依頼を受けているカンボジア人の養蜂家の方ともお会いしました。着々とハリナシミツバチの蜂蜜の販売準備を進めているところです。
パッケージデザインも小田デザイナーが作ってくれたものを、現地で印刷し、瓶に貼り付ける作業も始めています。もう1つの懸念材料だった糖度が低い問題も、中古の冷蔵庫を調達でき、糖度を向上させる作業を進めているところです。
カンボジアでは初めてのハリナシミツバチの養蜂、蜂蜜製品となりそうですが、うまく障害者の人たちの生計向上に結びつくように尽力したいと思います。
また、ぜひカンボジアの自然の恵みをハリナシミツバチの蜂蜜を通して、世界中の人たちに楽しんでもらえたらと思います。
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記事執筆/
アジア事業部
江角 泰