【カンボジア】新型コロナウイルスで影響を受けた障がい者世帯へ緊急食料支援
【アジアレポート/2020年4月_Topic02】
カンボジアの新型コロナウイルスの感染者は、旅行者や海外からの帰国者を中心に122名の感染が分かっています。ただ、4月の上旬以降は新しい感染者は出ておらず、感染者も5月17日時点には全員が回復しています。
4月にはカンボジアではクメール正月があり、例年であればお休みとなり、出身地に戻ったり、親戚の家へ行って新年を迎える人が多いですが、今年はカンボジア政府も人の移動が感染を拡大させてしまうことを危惧し、休みを急遽取りやめて、働くことを発表しました。学校やバー、カラオケなどのお店も3月から休みになっていましたので、とても静かなお正月となりました。
こうした対策のおかげで、感染も拡大せず、クメール正月明けから徐々に人も動くことができるようになってきました。テラ・ルネッサンスのカンボジア事務所でも、三密を避けて、在宅ワークもOKにしていましたが、お正月明けからマスクを着用して、村へも調査に行きました。
特にまずは感染の予防ももちろん重要ですが、貧困層の人たちの経済的な状況が心配になっていました。ニュースなどでは、カンボジアとタイの国境も3月に閉鎖され、その前にカンボジアへ戻ってきた出稼ぎ労働者もかなりいるということを聞いていました。
2017年からJICA草の根パートナー事業として実施している障がい者世帯への生計向上支援の対象世帯の調査を実施しました。これまで新型コロナウイルスのようなグローバル経済の悪影響となる問題に対処できるように、カンボジアで複数の収入源を確保するため、家畜銀行や家庭菜園の支援をしてきました。
そうしたこともあって、多くの世帯では、大きな影響を受けていませんでしたが、100世帯中8世帯が経済的に厳しい状態であることが分かりました。
写真:スヴァイ・ソー村に住むシム・ポォーンさんへお米と魚醤、塩を渡す現地スタッフ
障がい者の子どもたちがタイへ出稼ぎに行き、その仕送りに依存して生活をしていた世帯は、タイ国境の閉鎖に伴い、カンボジアに戻ってきても仕事が十分になく、収入がなくなっていました。食べるものも購入できないで、近所の人たちからお米を分けてもらったり、借金をしている世帯もいました。
こうした世帯へは、緊急支援が必要と判断し、食糧支援をすることにしました。彼らはすでに近所の人たちからも状況が厳しいことから食べ物を分けてもらったりしていましたので、もらえない人から妬みを買うこともありませんでした。
食糧は、主食となるお米と料理で必ず使う塩、魚醤、やし砂糖の支援をしました。タイ国境は、まだ当分開く予定はなく、タイへ戻ることもできないため、カンボジアのなかで収入を得ていかなければいけません。
外出も難しい状況でしたが、在宅でもできる仕事として家畜飼育やオーガニック野菜栽培のサポートをしているので、これを機会にさらに家族で取り組んでもらえると嬉しいです。
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記事執筆/
アジア事業部
江角 泰