市民社会によるSDGsの政策提言活動〜SDGsボトムアップ・アクションプラン2020春版から〜
市民社会の大切な役割の一つに、政策提言があります。SDGsや今回の新型コロナウイルス感染拡大の影響に関しても、市民社会が政策提言をしています。
今回は、5/20にSDGs市民社会ネットワークが打ち出したSDGsに関する政策提言『SDGsボトムアップ・アクションプラン』についてご紹介しようと思います!
◆SDGs政策を補完する「SDGsボトムアップ・アクションプラン」
SDGs市民社会ネットワーク(以下、SDGsジャパン)は、「SDGsボトムアップ・アクションプラン2020春版」を発表しました。
「SDGsボトムアップ・アクションプラン」は、政府が発表する「SDGsアクションプラン2020」に対して、市民社会からの声を反映させるために、100団体以上のNGO、NPOなどのグループからインプットをし、毎年作成されています。
資料:SDGsジャパン提供『SDGsボトムアップ・アクションプラン2020春版』より
(全文はこちらをご覧ください。『SDGsボトムアップ・アクションプラン2020春版』)
「SDGsアクションプラン」は政府が作成するものですが、その作成後開催される「持続可能な開発目標(SDGs)推進円卓会議」では、市民団体や民間セクターも交えてSDGsについて話し合われます。「SDGsボトムアップ・アクションプラン」は、この会議で市民社会の意見として伝えられるのです。
「SDGsボトムアップ・アクションプラン」は、この1年間SDGsを進めていくにあたって、政府からは見えにくい部分を補完し、最も声の届きにくい人をはじめ、わたしたち市民の声を政府に伝えていくための大切な取り組みとも言えます。
本記事では、この「SDGsボトムアップ・アクションプラン」について、一部になりますがご紹介しようと思います!
参考:
◆SDGsは「プラスアルファ」ではなく「危機の時代の羅針盤」
そもそも、なぜ世間が新型コロナウイルスの感染拡大で見通しが立ちにくい今、SDGsが強調されるのでしょうか。
「SDGs推進が大事なのはわかるけれど、今の状況を乗り切るのに手一杯だよ。。。」思われる方も多いと思います。しかし、SDGsは新型コロナウイルスによる危機とは切り離せないものです。
SDGsジャパン政策顧問の稲場雅紀氏は、「SDGsは危機の時代の羅針盤」だと言います。
現在の風潮では、「SDGsは貧困などの慢性的な問題に時間をかけて(緩やかに)取り組むものであり、新型コロナウイルスの影響を受ける今のような緊急時には優先されないもの」と捉えられることもあります。
しかし、元々SDGsは危機の時代を乗り越えていくための道のりを示すもの。今直面している課題を、SDGsに沿って解決していくことで、元どおりよりもさらに良い状態、持続可能な社会を目指していけると言います。
(発言は2020年5月27日 SDGsボトムアップ・アクションプラン 2020 発表ウェブセミナーより)
◆新型コロナウイルスに対する提言
「SDGsボトムアップ・アクションプラン」は、8つの優先課題についての提言が細かく記されています。
内容は膨大ですべてお伝えすることは難しいので、今回は新型コロナウイルスの影響を受けて緊急的に提言された『SDGsを指導理念とするCOVID-19対策を』の部分をご紹介しようと思います。
資料:SDGsジャパン提供『SDGsボトムアップ・アクションプラン2020春版』より
提言では、
(1)政策の透明性の確保、
(2)緊急的に対応すべき課題(緊急対策フェーズ)、
(3)そして今後、新型コロナウイルス感染拡大の影響からどのように立ち上がっていくかについて述べられました。
(1)政策の透明性の確保
SDGsのゴール16のなかには、「あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する」とあります。さらにSDGs17のターゲット17には、「公的、官民、市民社会のパートナーシップを推進する」、つまり多様なセクターが協力していく重要性が述べられています。
これらに基づき、提言では「透明性があり、説明責任を果たすマルチステークホルダーでの政策形成を!」として、新型コロナウイルス対策の政策を打ち出すときは「どんな考えに基づいて、誰と、どのように決められたのか」を説明することが人びとの安心につながると訴えました。
(2)緊急的に対応すべき課題(緊急対策フェーズ)
さらに緊急的に対応すべき課題(緊急フェーズ)として、SDGsゴール3にも記述のあるユニバーサル ・ヘルス ・カバレッジを保証し、新型コロナウイルス対策政策の影響で、困窮する人がでないよう訴えています。
*ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ:すべての人々が基礎的な保健医療サービスを、必要なときに、負担可能な費用で享受できること(WHO, 2010)
実際に緊急事態宣言時には医療崩壊が心配されたり、経済活動が停滞して生活を保てなくなる人々が出ている中で、この提言は大切な意見を政府に伝えているものと言えます。
(3)今後、新型コロナウイルス感染拡大の影響からどのように立ち上がっていくか
ここでは、「レジリエンスの確保」、「共存・ポストCOVID-19」、「国際協力の強化」として非常時にも普段通りの危機管理がなされること、長期的に新型コロナウイルスによる影響に対応すること、国内のみでなくグローバルな協力が必要なことが述べられました。
◆『京都SDGsラボ』に参加しませんか?
本記事では、新型コロナウイルスの感染拡大の中で市民団体全体としてはどんな活動をしているかをお伝えしました。
「SDGsボトムアップ・アクションプラン」の中でも示されたように、新型コロナウイルス感染拡大下においてもSDGsは「危機の時代の羅針盤」として参考にしていくべき大切な目標です。
今回は市民社会の活動を紹介しましたが、企業や自治体、教育機関など多様なセクターが連帯して取り組んでいくことは特に大切です。
「京都SDGsラボ」は、京都を中心とした企業、自治体、教育機関、市民団体、学生団体などが繋がり、パートナーシップを強めることでSDGs達成の推進に寄与するために発足しました。
パートナーシップの分野において長年の経験を積んだスタッフが、みなさまのSDGsに関する理解向上、人材交流、情報交換、協働による各アクターの組織強化をお手伝いします。
「SDGsに取り組みたいけど何から始めていいかわからない」
「他社(他団体)の取り組み事例を知りたい」
「パートナーシップで課題に取り組んでみたい」
そんな方特におすすめの企画です!
京都SDGsラボでは、現在次の内容を予定しています。
・SDGsに関しての協働事例集
・SDGs国際協力アクターによる情報発信
・スタッフによるSDGs推進のための個別コンサルティング
・新しい協働のためのマッチングサポート
(今後、新型コロナウイルスの感染拡大状況を踏まえながら内容を修正・追加していく予定です。)
まずは、京都SDGsラボのフェイスブックグループにご参加ください!グループ内でSDGsに関連する情報をお届けしていきます。
こちらのリンクまたは以下のQRコードからご参加いただけます。
(※「グループに参加」を選択し、お待ちください。運営側で承認いたします。)
◆運営団体
企画運営 |
認定NPO法人テラ・ルネッサンス 啓発事業部 講演受付・支援連携担当 栗田佳典 管理部 西川智子 啓発事業部インターン 津田理沙
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協力 |
公益財団法人京都高度技術研究所(SILK) 市民、企業、NPO、大学などの多種多様な組織や個人が、京都で社会的課題の解決に挑戦することで、角の効率性や競争原理とは異なる価値観を日本はもとより、世界に広めることを目的にした「京都市ソーシャルイ・ノベーション・クラスター構想」の推進拠点として2015年4月に設置された。構想全体のコーディネート機能を果たすとともに、行政・企業・NPO・大学・中間支援団体などを巻き込んだネットワークの形成や、所属するメンバーのほか、多くのパートナーとともに、企業と公的機関とのマッチングを行うパブリックコーディネートに取り組んでいる。
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主催 |
独立行政法人国際協力機構(JICA) |
連絡先 |
認定NPO法人テラ・ルネッサンス(担当:栗田) 〒600-8191 京都市下京区五条高倉堺町21番地 Jimukinouedabldg. 403号室 TEL:075-741-8786 e-mail:kyotoSDGslabo2030@gmail.com |