【ラオス】新事業開始に向けての歩み
【アジアレポート/2020年5月_Topic03】
コロナウイルスの感染者合計が19名と、周辺国と比べて被害が少ないラオスでは、初期段階より政府がロックダウンや学校の休校、国境閉鎖や手洗い、ソーシャルディスタンスなどの感染予防対策を進めてきました。
特にタイなどの周辺国への出稼ぎ労働者の帰国の際には、慎重な隔離等を実施することで、現在まで低い感染者数を維持しています。また内陸国ゆえに海外からの投資が少なかったために、自給自足に近い生活が残っており、経済活動が制限された中でも日々の生活を何とか続けられてきました。
そして最近は他の国々と足並みをそろえながら、規制も緩和されはじめ、街は徐々に活気を取り戻しつつあります。小中高や大学、専門学校の授業も6月の上旬から再開される予定です。
このような状況下において、ラオス北部のシエンクワン県において2年間の予定で実施する新規NGO連携無償資金協力(N連)事業の開始準備を進めています。現在は日本側とラオス側の共同作業で、この事業のための覚書(Memorundam of Undestanding, MOU)の締結の準備等を行なっています。
ラオスでは、事業の実施や各活動の実施許可、ビザや労働許可証の発行においても、MOUが非常に重要であり、その締結のための手順も複雑で、長い時間がかかります。が、ようやくそのゴールが見えてきており、6月の締結に向けて、ラオス事務所スタッフは作業に追われています。
写真:MOUの修正作業を続けているラオス事務所スタッフ(左:セーンケオ、右:ノックナー)
また、先行事業からの継続である養蜂は新事業でも大きな柱の一つであり、裨益者である不発弾被害者および貧困家庭の生計向上に大きく貢献すると期待していますが、そのハチミツの精製、販売を行う養蜂センター(Xieng Khouang Beekeeping Centre)での活動も再開しました。
養蜂を行っている村人が養蜂センターでハチミツを精製している姿は、ラオスが活気を取り戻し始めた証であり、ハチミツ購入などに訪れる人々は毎日の活動を続ける励みになっています。
写真:ハチミツを絞っている様子
写真:Lao-Jagro Development XiengKhouangからのお客様
新規事業では裨益者の生計向上のために、養蜂に加えて、裁縫およびキノコ栽培の計3分野の職業訓練を、シエンクワン県統合職業教育訓練校(Xieng Khouang Provincial Integrated Vocational Education and Training School(IVET校))およびシエンクワン県農業森林局(Xieng Khouang Provincial Department of Agriculture and Forestry)の協力で実施します。
現在は各分野の受講者の再確認と訓練前後の各家庭の経済状態や暮らしぶりの変化を評価する指標ためのベースライン調査も開始しています。職業訓練受講者は、各分野の技能を身につけるだけでなく、帳簿の付け方、小規模ビジネスの方法も併せて学ぶことで、持続的に収入を得ることができるようにします。
また、この地域では2017年にも不発弾爆発により幼児がなくなる事故が発生しました。そのため、本事業では3歳から5歳の幼児を対象として、不発弾回避教育も実施します。
コロナウイルスの影響で、担当者の現地渡航もできておらず、100%の事業実施には課題がありますが、それでも一歩一歩活動を進めています。次回は、更なる具体的な事業の進捗を報告したいと思います。
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記事執筆/
アジア事業部
飯村