【カンボジア】バッタンバン農林水産局からの障がい者支援事業の視察
【アジアレポート/2020年6月_Topic01】
カンボジアのバッタンバン州カムリエン郡で実施する障がい者100世帯への生計向上支援も4年目に入りました。6月末にカウンターパートとして一緒に事業を実施する農林水産局の副局長であるモニ氏に簡単な報告をしました。
そこでモニ氏が、一度現場を視察したいということで、カムリエン郡の障がい者世帯を案内し、活動を見てもらうことにしました。
しかし一年目のヤギは、本人が車椅子で、餌を採りに行くことが難しいために途中で断念し、今は鶏飼育とハリナシミツバチの養蜂をしています。代わりに鶏飼育を拡大させ、鶏飼育では最も成功している世帯の1つです。
農業技術訓練で教えてもらった養鶏技術で、鶏を繁殖させることができ、「自分はワクチンは使わない」と話していました。技術訓練で学んだ薬草の発酵液を使ったり、餌は薬草や現地で自生している野菜を混ぜて与えることで、健康で元気に育つといいます。鶏だけでUS$825の収入を得ていて、今も200羽を飼育しているドル・キエンさんの様子にモニ氏も驚いていました。
写真:ハリナシミツバチの蜂蜜を初めて試食するモニ氏(写真左)
ハリナシミツバチの養蜂も、今年始めたばかりですが、雨が降り始めて、木々の花が咲いた6月に蜂蜜を多く集めていました。もう少しで収穫もできそうです。
残りの2世帯では鶏やヤギを飼育していましたが、現在ヤギをさらに繁殖させて、たくさん飼育したい世帯が非常に多いことに、農林水産局のスタッフだけでなく、私も驚きました。
餌となる草が豊富にあり、餌代がかからず、飼育が簡単で、繁殖が早く、まとまった収入につながることが、3年経って分かったようで、もっと多くのヤギを貸し出して欲しいとの要望があちこちからありました。
写真:地雷被害者のメイ・ソーン氏(写真左から2人目)の家を訪問し話を聞くバッタンバン農林水産局の3名の職員
モニ氏を始め、農林水産局のスタッフは、障がい者たちの実際の生の声を聞いて、事業の意味や価値を認識してくれたようです。先月製本した薬草の発酵液の製作方法のマニュアルもバッタンバン農林水産局へ持って帰ってくれ、またカムリエン農業事務所にも置いてくれることになりました。
国際NGO、ローカルNGO、現地政府機関がチームとして、お互いの強みで、弱みを補いながら、残りの事業期間で、まだ収入に多く繋がっていない世帯にどうモチベーションと収入につながるようにサポートできるか考えていきたいと思います。
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記事執筆/
アジア事業部
江角 泰