【カンボジア】農地を返還、コロナ禍で重要性を増す地雷除去
【アジアレポート / 2021年4月_Topic01】
当会はカンボジアでの地雷撤去支援のため、地雷撤去団体MAG(Mines Advisory Group)に資金を提供しています。今回は、2021年1月から3月までの第4四半期の報告書が届きましたので、そのご報告をいたします。
↑地雷除去機械DIGGER D-250を操作する機械チームの作業員
当会が資金提供しているMAGの機械チームは、第4四半期、バッタンバン州のコッスクララ郡とラタナック・モンドル郡で地雷撤去活動を行いました。
チームは6つの対人地雷を発見・破壊し、237,536㎡の地雷に汚染された土地を住民に返還しました。これによって、3家族10人が安心した生活を取り戻し、間接的には321家族1,396人の生活にも影響を与えることができました。
雨季で記録的な大雨と洪水に見舞われた第3四半期と違って、第4四半期はチームの活動が中断することなくフル稼働できたので、第4四半期の地雷撤去の成果は、第3四半期に報告された成果の約4倍となりました。
↑第4四半期中に機械チームが地雷撤去活動を実施したバッタンバン州コッスクララ郡とラタナック・モンドル郡の地雷原の地図
MAGが地雷撤去を行っているバッタンバン州には非常に多くの地雷が埋まっており、それによる負傷者もカンボジア国内の他の州と比べても群を抜いて多い地域です。
30年以上前に埋められた無数の地雷ですが、どこに埋まっているか分からないため、人々は未だに広大な面積の土地を利用することができず、インフラの整備なども妨げられています。そのような状況の中で、地雷撤去が進み地域住民に土地が返還されることは、人口の80%が農村部に住み、農地が重要な生計手段となるカンボジアでは非常に重要なことなのです。
そして、この土地へのアクセスが、今年2月以降、カンボジア国内での新型コロナウイルスの感染の急速な拡大を受けて、さらに重大な意味を持つようになってきています。
普段から生活のためにタイへの出稼ぎに行かざるを得ない人々が多く住むバッタンバン州では、新型コロナウイルスの影響により、タイへ渡ることができなくなったことで非常に多くの人々が失業に直面し、生活の糧を農地に大きく依存しています。 そのため、この厳しい経済状況下では、安全な農地へのアクセスがより一層重要になってきているのです。
↑DIGGER D-250が地雷原で地雷撤去を進める様子
今年度(2020年4月-2021年3月)のプロジェクトで、MAGの機械チームは、324,833㎡の地雷で汚染された土地を返還しており、これはプロジェクト目標の130%を達成したことになります。
バッタンバン州では、5,554人の人々がこのプロジェクトで地雷が撤去された土地から直接的、または間接的に恩恵を受けています。これは、前述した新型コロナウイルスの影響も考えると、地域住民にとって非常に大きな意味を持ちます。
返還された土地は、主に米、キャッサバ、カシューナッツ、トウモロコシなどを育てる農業目的で使われます。農地が返還されたことで、住民は農作物の栽培を拡大したり、多様化させたりすることが可能になり、安定して食料を確保できるようになったり、年間収入を向上させることができるようになっています。
↑DIGGER D-250を遠隔操作で操縦する機械チームの作業員
新型コロナウイルスの感染拡大、またそれに伴うカンボジア政府の国内で様々な規制や予防措置の急速な実施により、MAGは3月の活動期間中、人の集まりが必要となる地雷撤去前後の評価、開所式、タスクの引き渡しなどを中断せざるを得ませんでした。
まだしばらくは感染を収束させるのに時間はかかりそうですが、今後もマスクの着用、手指消毒剤の使用、ソーシャル・ディスタンスの維持、大規模な集会の回避など、新型コロナウイルスに関連する適切な予防・緩和策を実施していきながら、カンボジアの人々が安全に土地を利用して暮らせるよう、地雷撤去を進めていきます。
以下にMAGから届いた第4四半期の報告書と今年度の提案書のPDFを英日文それぞれ添付いたしますので、ご興味のある方はご覧ください。