[コンゴ/速報]ニーラコンゴ山噴火の現状と、支援活動への影響について。
●コンゴ東部で火山が噴火。支援活動への影響は・・・
テラ・ルネッサンスが活動するコンゴ民主共和国東部において、ニーラゴンゴ山(3470m)が5月22日に噴火しました。
噴火による被害の全容は明らかになっていませんが、ロイター通信によりますと、溶岩は主要道路を寸断し、一部の地域では火災が発生、広い地域で停電も発生しているようです。
これまでに2万5000人が住む場所を失い、山の10キロ余り南側に位置する都市ゴマからは、3,500人以上の住民が国境を越えて隣国ルワンダへ避難していると、ルワンダ政府が発表しています。
さらに、AP通信などによりますと、避難しようとした際に交通事故で亡くなった9人を含めて、これまでに15人が死亡しました。ユニセフ(国連児童基金)によりますと、150人以上の子どもが家族とはぐれたうえ、170人以上の子どもが行方不明になっているおそれがあるとしています。(2021年5月24日時点)
テラ・ルネッサンスのコンゴ人スタッフやその家族、関係者の無事は確認が取れています。今回噴火した火山は北キブ州に位置します。隣接する南キブ州に当会の活動地があるため、噴火による直接的な影響はありません。
ただし、今後、南キブ州まで、火山灰が降ってきたり、2002年の同火山の噴火のときのように、大量の国内避難民が逃れてくる可能性があります。また、コンゴ東部における人やモノの移動の要所であるゴマ空港を含めたゴマ市内全域に被害が出ています。
そのため、コンゴ東部全体で物流などが滞るなど、これからのテラ・ルネッサンスの支援活動にも様々な影響がでることが予想されます。テラ・ルネッサンスでは、今回の噴火の被害状況について情報収集を進めてまいります。
出典:NHKニュース
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210524/k10013049091000.html
●コンゴ民主共和国とは
アフリカ中部に位置するコンゴ民主共和国(以下、コンゴ)は、アフリカ第二の面積を有する広大な草原とジャングルに覆われた自然豊かな国です。しかしこの国は、1998年以降の紛争によって、第二次世界大戦以降、世界で最も多くの死者(540万人以上)が発生し、推定3万人以上もの18歳未満の子どもたちが、兵士として戦わされてきました。また、1998年以降少なくとも20万人以上の女性が性的暴力に遭ったとされていますが、実際には40万人以上とも言われており、こうした状況は現在も続いています。
紛争の背景には、レアメタル(希少価値の高い鉱物資源)をはじめとする天然資源をめぐる近隣国及び先進国の権益争いがあります。例えば南キブ州には、携帯電話の部品として使用されている金やスズ、タンタルなどの鉱物資源が豊富にあり、これらの資源が不正に輸出され、武装勢力の資金源となっているのです。
こうして、もともとは農耕による自給自足を続けていた現地住民の生活は破壊され、海外からの援助や物乞い、低賃金の鉱物資源採掘作業等に依存しなければ、生きることさえ出来なくなってしまっています。
特に、紛争中に性的暴力を受けた女性たちは、夫や家族から見放されてしまうことが多く、そのために、彼女たちが抱える小さな子どもたちが、栄養失調で死亡するケースも後を絶ちません。さらに、教育の機会を奪われた子どもたちは「徴兵」というリスクにも晒され、最貧困層の人々が生活を再建することが、紛争予防の観点からも必要とされています。
テラ・ルネッサンスは、2007年より同国での事業を始め、これまでに南キブ州(コンゴ東部)・中央カサイ州(コンゴ中南部)において、元子ども兵、性的暴力を受けた女性たちの職業訓練、小規模ビジネス起業支援、食糧増産のための技術支援など、幅広い支援活動を継続してきました。同会は、同国で活動する数少ない日本のNGOとして、UNDP(国連開発計画)などの国際機関、行政機関との連携も行っています。
●長引く紛争に、コロナ、そして火山の噴火。
世界中で猛威を振るう新型コロナウイルス感染症は、コンゴにおいても、社会・経済的に深刻な影響を与えています。2020年3月以降、コンゴ政府は経済活動や移動を厳しく制限。学校や教会など人が集まることを禁止し、生活に必要な最低限の店舗以外は休業を命じました。
さらに、国民にマスクの着用を義務化したため、マスクを買えない貧困層は、マスクなしで出歩いたために警察などから暴行を受け、命を落とす方も出てしまいました。
そのような状況を鑑みて、テラ・ルネッサンスは、ロックダウン下で仕事や収入を無くして、生活の糧を失った方々に対し、食料などの生活物資や感染対策のための石鹸などの衛生用品の緊急支援を行いました。
また、特に過去テラ・ルネッサンスで洋裁の技術訓練を受けた方々にたいしては、仕事として「マスク作り」を発注し、賃金をお支払いするとともに、彼女たちが作ったマスクを貧困層や病院などに無料で配布しました。
新型コロナウイルスの感染者数・死者数は、昨年末から年始にかけて増加したものの、その後はゆるやかになり、少しずつ落ち着いてきています。コロナの影響はもちろん心配ですが、コンゴ東部では、今も武装勢力による散発的な戦闘が続いており、
2月には駐コンゴイタリア大使が襲撃され死亡、4月には武装勢力による政府軍への攻撃があるなど、まだまだ安心した生活にはほど遠い状況にあります。そのような中で、追い打ちをかけるように火山の噴火が起きてしまいました。
先行きの見えない不安をスタッフが漏らしたところ、私たちの支援を受けたある紛争被害者の女性が、「今、できることをやるしかない。今、仕事があること自体、最高のことでしょ。とにかく、やれることを、やれる時にやる!そうしていれば、あとは神様が助けてくれる。」と話していたそうです。紛争という巨大な困難と共存しながら生きてきた彼ら・彼女らのたくましさに、私たちが励まされるばかりです。
紛争、コロナ、火山の噴火と、想像を絶するような困難に命と暮らしを脅かされている彼ら・彼女らが、ささやかであっても安心した生活を送ることが出来るよう、引き続き自立支援を続けて参ります。
【コンゴについてより詳しく知りたい方はこちら】
▼テラ・ルネッサンスのコンゴでの支援活動について
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▼コラム:なぜ「紛争鉱物問題」は、特にコンゴにおいて大きな問題となっているのか?~その歴史的経緯や、現地での活動を通して見えてきた希望~
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▼コンゴでの活動に関するインタビュー記事(ピープルポート株式会社さまより)
1)コンゴ支援の現場から~紛争鉱物~便利な暮らしの背景にあるもの Part1
https://zeropc.jp/report/trinterview1
2)コンゴ支援の現場から~紛争鉱物~便利な暮らしの背景にあるもの Part2
https://zeropc.jp/report/interview_terra2
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