【ブルンジ】「轍(わだち)」vol.2 「平和」のカタチ~古岡繭編〜

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【ブルンジ】「轍(わだち)」vol.2 「平和」のカタチ~古岡繭編〜

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今年で創設から20年を迎えるテラ・ルネッサンス。20周年特別企画として、これまで海外事業・海外駐在員が歩んできた道のりを、それぞれの活動国ごとにお伝えしていきます。
 

今回は、2017年よりブルンジに駐在し、当会ブルンジ事業を担当してきた古岡繭が考える「平和」についてフォーカスを当てた記事となっております。ぜひご一読ください。

 

私の「平和のカタチ」

ーさっそくですが、古岡さんが思う「平和のカタチ」とはどんなカタチをしていますか。

 

人々の生活において、収入源など、何か生活の基盤となるものがあること。その状態を周りの人から妬まれないこと。そして、持っている生活基盤を自分のためだけではなく、他の人のために、はたまたコミュニティ、国の発展のために活かせている状態です。言葉で表すのは少し難しいのですが、これが、私の目指す「平和のカタチ」だとおもいます。


ーありがとうございます。現在、古岡さんが担当しているブルンジ事業の経験が含まれているように感じました。この「平和のカタチ」が古岡さんの中で、どのように生まれ、そしてそれをどのように、追い続けてきたのか、このインタビューを通してお聞きしたいと思います。 
 

「私もなにかしないと!」〜私の原点、テラ・ルネッサンスとの出会い〜

ー古岡さんの「平和のカタチ」をもう少し深堀してみたいのですが、幼少期を遡ってみて、国際協力を志すきっかけなどはありましたか?

 

そうですね。思い返すと、中高時代は世界史と英語を勉強するのが好きでした。この2教科だけは自発的に勉強しました(笑)そして、その2教科を活かせる国際関係学部のある大学に入学しました。とは言っても、大学入学してからは、専らよさこいサークルに明け暮れていました(笑)ただ、大学2年生の時、世界で起こっている悲惨さを知りました。そのきっかけは、「ルワンダの涙」という映画をゼミの授業で鑑賞と、映画に関するディスカッションです。その時に、「私も何かできることがしたい。」と思いました。

 

ーありがとうございます。「ルワンダの涙」が心に留まったのは、古岡さんのどのような価値観が影響していると思いますか。

そうですね。もしかすると、わたしは正義感が強いのかもしれません。昔、父親に「警察官になったらいいのに!」と言われたこともありました。「ルワンダの涙」を観たときに、「私もなにかしないと!」と心が動いたのは、その正義感のおかげかもしれませんね。

ーそうなんですね。それは古岡さんの新しい一面でした。古岡さんは学生時代にテラ・ルネッサンスでインターンを経験していますが、どのような経緯でインターンを始めたのでしょうか。

ちょうど、「ルワンダの涙」を観たのと同時期に、はじめて鬼丸さんの講演を聴きました。その時、直感的に何か感じるものがあったと思います。鬼丸さんの話はわかりやすく、自分の中にスッと入ってきました。その時に、テラ・ルネッサンスのファンクラブ会員になったのですが、それが私が行動するきっかけでした。それは私にとって行動を促してくれる体験でした。


そこからしばらくして、テラ・ルネッサンスでインターンを募集していることを知り、大学院の進学を決めたと同時に、インターンとして働き始めました。
 

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【インターン時代の古岡さん(写真左)】

ーありがとうございます。鬼丸さんの講演を聞いて、入ってくる感覚はわかります(笑)それからテラ・ルネッサンスの職員になるまでにはどのような道のりをあゆんできたのでしょうか。

大学院卒業後に、青年海外協力隊に参加し、ルワンダで2年間活動しました。思い返すと、その2年間はとてもキラキラした時間でしたね。協力隊の2年間は喜びや葛藤など、様々な経験をしながら、自分の力で進めていく。私にとって、自分に自信を持ち、より強くなれた大切な時間です。

青年海外協力隊の派遣が終わってから、ルワンダで養蜂に関する会社で働きました。実は、その会社で働くと決めた同時期に、テラ・ルネッサンスの職員の誘いも頂いていました。
当時は、「両方で働いてみたい。」という思いもあり、ルワンダの会社で約4か月半働かせてもらってから、テラ・ルネッサンスの職員になりました。

 

ー「両方で働いてみたい。」は、古岡さんのかっこいい性格が垣間見れますね。因みになぜ、そう思われたのですか。

そうですね。テラ・ルネッサンスで働きたいと思ったのは、自分が好きな組織だからです。ただ、協力隊の派遣終了後すぐに、テラ・ルネッサンスの職員になるのは少し葛藤がありました。
というのも、協力隊の仕事もテラルネの仕事も公益を目指すというところでは共通しています。その点で、協力隊を終えてすぐテラルネの仕事を始めると、経験が不十分で、自分自身が組織にうまく貢献できないような気がしました。


なので、一度、ビジネスの分野で、小さい組織で大きな裁量を持って働いてみたかったんです。そこでは資材の調達やルワンダの税金関係の業務を担当していたのですが、そこでの経験は今のブルンジ事業に、とても活きていると思います。

ー確かに!ブルンジ事業では開業支援など、受益者の方にビジネスを開始してもらうプロジェクトが多いので、ビジネス分野での経験はとても大切ですね!
 

「平等によって保たれる平和」〜ブルンジの平和と葛藤〜

 
ー古岡さん、ありがとうございます。テラ・ルネッサンスの職員になるまで、様々な経験をしてきたんですね。先ほど、おっしゃっていた古岡さんの「平和のカタチ」はいろんな段階で、変化してきたかと思うのですが、いかがでしょうか。


私自身は、協力隊の活動や大学院の研究において、「経済的自立」が主軸でいろいろ考えていました。なので、根本的にはあまり変わりない気がします。ただ、より具体的になったのはブルンジに来て、周りとの関係性をより重視するようになってからだと思います。


最近知り合いとブルンジについて話していて、とても腑に落ちた言葉があります。それは、「平等によって保たれる平和」という言葉です。


ブルンジにおいても、収入向上はとても重要ですが、コミュニティの中で1人だけの収入が増加し、裕福になると、その人は同時に周りからの妬まれる対象にもなってしまうのが現実です。支援対象者の中には、養蜂の巣箱を盗まれたり、嫌がらせをされた人もいます。


みんなが同じ経済レベルだと問題ありませんが、誰か1人でもグループの中で収入が高くなると、周りの人は無条件には喜びません。妬むかわかりやすくごまをすって、恩恵を分けてもらおうとします。それで恩恵を得られなかったら脅迫したり妬んだりしてしまうこともあります。それを防ぐためにも、周りとの関係性をうまく保っていくことが、重要だと感じます。


―ブルンジの人が起こすリアクションは人間の中の一番素直な部分なのかもしれないですね。大きな社会で起きていることがブルンジの小さなコミュニティにも再現されているように感じました。さっきの「平和のカタチ」は「平等によって保たれる平和」に集約されていると言うことですか?

いえ、私は「平等によって保たれる平和」はベストとは思っていません。収入に差が出来ることは当然かと思いますし、平等すぎても、不平等すぎても難しいかと思います。


―ありがとうございます。簡単ではありませんが、「平等」にはバランスが大切だと感じます。
 

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【ブルンジ事業養豚グループの支援対象者の方々】

「点と点がつながって…」〜テラ・ルネッサンスで働く意義〜

 

―業務の中で大変だと思うこともあると思いますが、それでもテラ・ルネッサンスで働き続けるのはなぜでしょうか。

一つはこの組織が好きからです。あとは、「しんどい」を乗り越えた時の景色も見てきたので、大変でも簡単にはやめようとは思いません。今までの経験のおかげで、あきらめない図太さが今の私にあるのだと思います。


―とても逞しいと思います!尊敬です。そのしんどさを乗り越えた時の景色はどのようなものでしょうか?

景色とは言いましたが、しんどさを乗り越えた時ははっきりとは見えません。もちろん、報告書や事業が終えた時の爽快感はあるのですが、ブルンジ事業の成果は時間がかかりますし、目に見えない部分もあります。でも、後々振り返って、「ちゃんと成果は出ているんだ。」と気づいた時に、やっとその景色が見えます。

「あの時、踏ん張り続けたからこそ、点と点がつながって今の成果なんだ。」と感じます。なので、大変な時は、何を目指しているかを忘れないことが大切だと思います。

これはブルンジの仕事だけでなく、どんな仕事にも当てはまることだと思いますが、
目標まで一直線に進んでいけることもありますが、回り道をしたり、たまに邪魔されたりしながら、たどり着くことがほとんどです。なので、ゴールまでの道のりが遠く感じても、目指すところさえ見失わなければ、ちゃんとゴールにたどり着くのだろうと思います。


―それは、私たちのクレド(行動規範)のResult orientedにあたる部分が、古岡さんの中で、しっかりと体現されているように感じます。 

※Result oriented (リザルト オリエンテッド):テラ・ルネッサンスの行動規範の一つ。どんな業務においても、到達点を常に意識して取り組む姿勢を大切にするための行動規範。
 

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【支援対象者の家庭訪問の様子】 

 

―「ゴール」という言葉が出ましたが、古岡さんの「平和のカタチ」をゴールとした時に、今の現在地はどのへんでしょうか。


私が思う平和のカタチは何がゴールか少し表現しづらいのですが、ブルンジの国民全員がなんらかの収入源があり、周りとの関係性が良い状況を考えると、「まだまだ」です。

 

ただ、着実に進んでいるという感覚はあります。私の目指す「平和のカタチ」を山の頂上と考えると、その頂上にたどり着くまでには、何個も丘を越えていくようなイメージです。その丘の一つ一つが、その人自身の状況です。
 
支援対象者の場合だと、1人の収入源が向上して、尚且つ、その人が周りの人とうまく共生できていたら、一旦はその小さな丘の上に登ったことになります。ただ、時には、丘だから仲違いなどして、下っていくこともあると思うんですよ。


「近づいたり、少し遠のいたりして、徐々に進んでいく。」そんな感覚です。

山登りのように、登っている時は登っているのかどうか、あまりわからないのですが、少し止まって見渡してみると、「さっき見上げていた丘が、今は下に見えている」みたいな感覚です。徐々に良い方向に変わりつつある今を味わっています。

 

―ありがとうございます。確かに、良い変化は徐々に徐々に見えるのかもしれませんね。最後の質問です。今まで、たくさんの丘を越えられてきたと思いますが、古岡さんは大変な時にどのような言葉を自分自身に投げかけてきたのでしょうか。

いろんな言葉を投げかけてきましたね。
 
「まず、自分が満足するために、後悔しないこと。とりあえずやってみる。」
 

やってみると、どんなことも自分の心が納得してくれます。進みながら迷うことも、もちろんありますが、そんな時こそ、「選択してよかった」と思える理由を自分でちゃんと見つけるようにしています。「正解を選ぶよりも、選んだ道を正解にする」ことが大切なように感じます。

「目標を見失わずに、あきらめずに頑張れ。」
 

大変なことがあったとしても、それを乗り越えると、遠く感じていた目標が少し近くに感じられます。大変なら大変なだけ、成果が尊く感じると思います。
 

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【プロジェクト施設建設候補地視察の様子】

ーありがとうございます。なんだか、私が勇気づけられました!これはブルンジ事業や啓発事業に関係なく、大切な想いですね。
 

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編集後記(執筆担当 啓発事業部 福井より)

みなさま、いかがだったでしょうか。

わたしにとって、今回のインタビューは、古岡さんの新しい一面が見れた、実に新鮮な時間でした。海外事業部と啓発事業部で一緒にお仕事をすることは少ないのですが、実は古岡さんと私(福井)は、時間を忘れて長電話するくらい仲良しです。普段はとっても優しく、チャーミングな古岡さんの絶えることのない「平和」への想いは、着実にブルンジの人々に広がってきた、そして、これからも広がっていくと確信しました。

また、最後の「大変な時に、自分自身にどんな言葉を投げかけますか」という質問は、進路に悩んでいる1人のインターンが投げかけた質問です。多くの人が、進路に悩み、選んだ道に不安がり、選ばなかった道に未練を感じるものです。私も彼女もその1人だと思います。古岡さんが仰った「選んだ道を正解にする」という言葉が、彼女の次の1歩に勇気を与えるものだと感じています。「あきらめずに、頑張れ。」

テラ・ルネッサンス創設20年キックオフイベントのご案内

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2021年7月3日(土)に当会創設20年を記念したキックオフイベントを開催します。イベント第1部では当会理事長小川真吾より、テラ・ルネッサンス20年の海外事業地での支援を振り返ります!また、第2部では国内外の事業地と中継をつなぎ、現地で働くスタッフの想いをお伝えします!

今回、紹介した古岡は現地スタッフと一緒にブルンジから出演します!

ぜひ、みなさま、ご参加くださいませ^^



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インタビュー・記事執筆 

啓発事業部 /

福井 妙恵

執筆協力
アフリカ事業サブマネージャー/古岡 繭 

啓発事業部/ 今津 千尋

 

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