【ラオス】裁縫ビジネスがスタート、民族伝統の衣装文化を生かして
【アジアレポート/2021年6月_Topic02】
ラオス事業の大きな柱の一つが、不発弾事故被害者家族および低所得者への生計向上支援のための職業訓練です。今回は、裁縫、キノコ栽培、養蜂の3コースのうち、裁縫コースを受講した村人の現状について報告させていただきます。テラ・ルネッサンスは裁縫による生計向上のためのビジネス活動の場として、裁縫店3店舗を建設しました。多民族国家であるラオスの状況に合わせて、2店舗は主に多数派のラオルム族、残り1店舗はモン族をターゲットに生産と販売を行います。実際には、受講者10名のうちの6名がモン族なので、ショップ1はラオルム族とモン族の混合チーム、ショップ2はモン族チームでモン族の顧客をメインターゲットにしています。そしてショップ3はラオルム族チームです。
↑テラルネスタッフ(左)と一緒にミシンのセットアップしているラオルム族メンバー(ショップ1)
↑新品のミシンで試し縫いの準備中のモン族メンバー(ショップ1)
モン族はラオスの少数民族の中では、カム族とともに人口比率が多い民族で、優れた刺繍文化を持っています。モン族は古来より固有の文字を持たなかったため、この刺繍を用いて、民族の歴史や伝説、生活などを母から子へと後世まで伝えてきたと言われています。ラオスの各民族は共にカラフルで美しい伝統衣装を有していますが、モン族は刺繍を施した衣装が素晴らしく、またいくつものサブグループに分かれるため、それぞれが少しずつ異なった衣装文化を持っています。モン族の起源は中国南部と言われていますが、世界各地に移住しているため、中国やベトナム、ラオスやタイだけでなく、アメリカやフランス、オーストラリアにも多数のモン族が居住しています。ラオスに居住するラオス人の中にも、ラオスの伝統衣装を生産し、アメリカのモン族の顧客に輸出している人もいます。そのためには、相当高い技術が必要ですが、本プロジェクトのメンバーでも、努力次第では世界マーケットも夢ではないかもしれませんし、ラオルム族にも無限の可能性があると思います。
ラオルム族メンバーもモン族メンバーも「未来をつくる力」でどんどん前進して行ってほしいと思います。
飯村 浩