【特別ブログ】「私がつくる平和。」〜職員 小田起世和〜

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【特別ブログ】「私がつくる平和。」〜職員 小田起世和〜

このブログは、8月9日の長崎の原爆投下の日に平和についてお伝えする特別記事です。今回は、事務局次長・啓発事業部長・ブランディングデザイン室長の小田起世和にインタビューしました。長崎に生まれ育ち、平和への想いとともに、デザインを専門としてテラ・ルネッサンスで働く小田の想いをお伝えします。

「平和とは、もしかしたら私自身がつくり出せるのかもしれない。」そう、思わせてくれる小田の正直な想いを綴っています。ぜひ、ご一読ください。

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「平和」と向き合う

ー 8月9日という日に、小田さんはどんなことを考えますか。

やっぱり長崎のことを考えますよね、ひいては平和についてでしょうか。時間が許せば平和祈念式典の中継を見ますし、ネットで市長の平和宣言文を読んだりもします。

 

ー 幼少期の頃、平和に対してどのような想いを持っていましたか。

小学校の頃では、夏休みの登校日のことが記憶に残っていますね。8月9日、学校の体育館に集まって被爆者の方の被爆体験を聴くんです。

当時のことを思い出してみるんですけど、正直その時はよくわかってなかったと思います。それに今と違って体育館にエアコンなんてないですから、ものすごく暑くてね。被爆者の方の話しも集中して聴けていませんでした。

 

でも一方には、「この時間を大切に過ごさなきゃいけないんじゃないか」という気持ちがああって。というのも、私の祖母は被爆者で、夏になるとよく戦争体験や原爆のことについて話してくれていたんです。その意味で、戦争や平和について向き合うことを、原爆を生き抜いた祖母と向き合うことに重ねていたんだと思います。


ー そうだったんですね。そんな小田さんがさらに平和への関心を深めていくことになったと思うんですが、そのきっかけについて教えてください。

高校の頃、同じクラスメイトだった親友がそのきっかけでした。彼はバスケットボール部だったんですけど、突然「部活辞めた」っていうんです。なんで辞めたの?って聞くと、「平和活動はじめたから」と、びっくりしましたよ(笑)高校生にとって、部活って授業や家庭以外で過ごすことのできる貴重な時間の使い方ですから。

 

そんな感じで驚きつつも、彼の活動に興味を持ちました。私も、3年生の高校総体が終わって部活を引退したあと、追いかけるようにしてその平和活動に参加したんです。

 

「高校生一万人署名活動」といって、核兵器廃絶のための署名を集め国連へ持参し、世界のリーダーたちを前に被爆地ナガサキの声を届ける活動をやっていました。この経験は、その後の私の人生に大きな影響を与えてくれることになります。

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【平和活動中の小田の様子】

ー テラ・ルネッサンスでいうところのインターンみたいな感じですね。活動の中で、なにか印象に残っていることはありますか?

街頭に立って街ゆく人に声をかけ、署名や募金を呼びかけたりするんですね。だからまあ、色んな人がいますから、いろいろ勉強になりました(笑)それで、ちょっとテラルネっぽいこと話してみようと思うんですけど、ある日友人とゲームセンターで遊んでいたときの話しです。

 

銃を使ってゾンビとか兵士を撃つようなゲームがあるでしょ?あれで遊んでいたとき、たまたまその場に居合わせた平和活動の仲間にそのシーンを見られてたんですね。その子がこっちに近づいてきたかと思うと、突然こんな風に言ったんです。

 

「平和を広げる活動をしているのに、なぜそんな遊びができるのか!?」って。

 

面食らいましたね。同時に、そうだよなって、ちょっと情けない気持ちになっちゃって。それで、その時に感じたんです。日々の生活のなかで、無意識に戦争を肯定したり戦争に加担してしまうことがあるかもしれないと。

 

このことは、テラルネで働きはじめてからより強く意識するようになったと思います。

 

ー確かに。私もテラルネで働き始めてから意識するようになりました。

「平和」とはなんだろう

ー 小田さんにとって、平和とは何でしょうか。

ねー、平和ってなんでしょうね。テラ・ルネッサンスで働くようになった今でも、そのことについて考え続けています。

 

それで、最近ふと思うことがあって。それは、あえてこの世界が「自分」と「自分以外」で構成されていると考えてみたとき、平和のためにはどちらも大切にできるといいんじゃないかということです。

私たちが取り組んでいる「子ども兵」や「地雷・不発弾」など、世界平和にとって、これらの社会課題の解決は間違いなく大切なことだと思います。そして、テラ・ルネッサンスのスタッフも、応援してくださる支援者の皆さんもここに一生懸命です。

 

このことを、あえて「自分以外を大切にする」としたとき、私自身、同じくらいに「自分を大切にする」ことについて一生懸命になれていたかな?と自問してみます。

 

コロナ禍の時代において、物理的な関係性を持つことが難しくなったことから、社会との距離が遠くなったように感じます。ですが一方で、自分と向き合う時間が増え、自分という存在をより近くに感じられるようになった気がしているんです。

 

この世界が「自分」と「自分以外」で構成されていて、それらの間で起こる様々な事象によって平和が紡がれるとするならば、私が何に喜びを感じ、何に怒りを覚えるのか、それらを丁寧に知ろうとすることは、平和を考えるための重要な手がかりになるのかもしれません。

それによって私自身の“世界を見る目”が変わり、「自分」から「自分以外」の世界に滲み出ていく何事かに変化がもたらされるのではないかと思います。

ー確かに、そうですよね。

本を読んだり、映画を見たり、美味しいものを食べたりといった具合に、自分を幸せにする手段は色々あると思っています。でも、もっと簡単なことは「隣の人の話をちゃんと聞いてみる」ってことなんじゃないかなと。

つまり、それは「自分以外」の世界を感じたり、触れてみようとすることです。それが、自分自身の幸せ(平和)につながっていくような気がします。

テラ・ルネッサンスの活動でもそんな感覚は大切にしたいと思っていて、今回のブログのように私たちの活動とその想いお伝えする意義は、この点にあるように感じています。


ー 本当にそう思います。私たちがみなさんの「自分以外の世界を知る」きっかけになれたら嬉しいですよね。

「平和」への役割とは

ー では、小田さんの「平和」への役割とは何でしょうか。

やはり、デザインの力を発揮することだと思います。グラフィックデザインやコピーライティングは、課題解決のための一つの手段です。

 

さらにいえば、その課題を丁寧に観察し、なにが本質的な問題であり、どのようにすれば解決できるのかを言語化することが重要だといえます。

 

ー小田さんの中で、「デザイン」と「平和」が出会ったのきっかけは何だったのでしょうか。 

大学の頃、海外のある広告との出会いがそのきっかけでした。海外の広告は日本の広告よりも奇抜なものが多く、とても面白かったんです。そのうちの一つが、イタリアの大手アパレルブランドである「ベネトン」の広告でした。

 

それは、戦争の和平を訴えるものや、差別について考えさせられるようなものなど、自社の商品ではなく社会課題をテーマとする広告だったんです。衝撃を受けましたね、こんなことができるのか!って。

 

平和への想いをデザインと掛け合わせることができると知った瞬間でした。それから、私のデザインは社会課題を取り扱うことが多くなっていきます。

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学生時代の作品アイデアのラフスケッチ
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【学生時代の作品】

ーなるほど、小田さんの「好きなこと」と「大切にしたいこと」が掛け合わさった瞬間だったんですね!テラ・ルネッサンスの活動では、どのようにして「平和への役割」を発揮しているのでしょうか。

テラ・ルネッサンスの活動における今の私の役割は、「関係性をデザインすること」なのかなと思います。

 

例えば、テラ・ルネッサンスで働く仲間が最高のパフォーマンスを発揮するためにその環境をつくることや、テラ・ルネッサンスを応援してくれている方々に向けてどんなコミュニケーションをできるといいかなど、役割の中でやるべきことは様々です。

ただ、その本質は変わらないと思っています。

 

デザインで培った考え方を通して、テラ・ルネッサンスが持っている価値や課題を言語化し、また、テラ・ルネッサンスに関係する一人ひとりに想いを寄せ、「関係する」ということが、ここでの本質だと考えるためです。

 

これは大学の恩師の受け売りなんですが、もし戦争や個人間の争いが “コミュニケーションの不交通” によって起こっているとすれば、コミュニケーションを整備すること(関係すること)によって解決できるのではないか。それが、平和をつくるために出来ることなのかもしれないと考えています。

いま、伝えたいこと。


ーありがとうございます。テラ・ルネッサンスで「関係する」を実践してきた小田さんですが、最後に、いま伝えたいメッセージはありますか。

とにかく、いまは、生き延びなきゃいけないんじゃないかなと思ってます。

直接的にコロナに感染してしまうかもしれないし、そうでなくとも間接的な影響で心身を病んでしまうかもしれない。仕事終わりの居酒屋にも行けないし、愛するパートナーとの結婚式もできない、遠く離れた家族にも会えないような状況が続いています。

 

新型コロナウイルスは、あらゆる側面で私たちの「生きる」を阻害しています。この先の世界になにがあるかはわかりませんが、私のなかではっきりしていることは、死にたくないし、死ぬわけにはいかないということ。大袈裟に聞こえるかもしれませんが、だからこそ、いまは生き延びなきゃいけないと思っています。

さっきの話につながるんですけど、平和というものが「自分」と「自分以外」の様々な事象によってつくられるとして、そのための変化を起こすことができるのは、誰でもない自分自身なんだと思います。

 

そのためにも、自分のことをもっとよく知ってみたいと思います。それはつまり、自分を大切にするということに叶っていくのかもしれませんね。


ーそうだと思います。小田さんの言う「自分を大切にすること。」は、私たちひとり一人が「平和」をつくっていけるということなのかもしれません。そして、それは日本もアジア・アフリカも、世界中の人に共通することなのだと思います。小田さん、ありがとうございました。


〜夏季募金キャンペーン2021 実施中〜

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テラ・ルネッサンスでは、7月15日から8月31日まで、夏季募金キャンペーンを実施しています。アジア・アフリカで自立に向けて歩む人々と共に、テラ・ルネッサンスが活動を継続していくために、この期間に【1,200万円】の資金を必要としています。

 

ぜひ、その自立の「一歩」に寄り添う支援に、寄付という形で、皆さまにご協力いただけますと幸いです。


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記事執筆/

啓発事業部 福井妙恵

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