【カンボジア】モデルファームでアグロエコロジー的農業の実践
【アジアレポート/2021年12月_Topic01】
カンボジアのバッタンバン州カムリエン郡ロカブッス村のモデルファームで、11月にいくつかの作物の収穫をしました。
雨季の終わりとなり、浸水した土地で枯れた作物もあれば、収穫ができた作物もあります。トウモロコシ、トマト、ヘチマ、空芯菜、食用となるクメール語で、スナオと呼ばれる黄色い花、香草等を収穫できました。
↑茄子とともに栽培したトウモロコシを収穫するサウさん
一方で、昨年は収穫できたさつまいもは、今年は浸水した影響で、収穫できませんでした。茄子は、長雨の影響で、枯れたものが多いですが、また乾季に植え直す苗を準備しています。トマトも、また乾季になる12月に向けて、苗を栽培し始めています。この苗木を自分の家に持って帰り、栽培をする村人もいます。
例年は10月末に雨季が終わり、11月から乾季に入りますが、今年は11月後半まで雨が降っており、気候の変動にも農業は対応していかなければなりません。
↑ロカブッス村のファーマーズ・マーケットで収穫した野菜を販売する様子
モデルファームでは、単一の作物を大規模に栽培するのではなく、多品種の野菜や作物、花などを、少しずつ栽培することでリスクを回避しています。
また、カンボジアで栽培されてきた品種をできるだけ栽培するようにし、種を自家採種することで、種を購入する必要なく、栽培をしています。農薬や化学肥料を使わないことで、支出がほとんどなく、栽培に失敗したとしても借金を抱えるなどのリスクはとても低いのです。
人間が食べるものだけでなく、家畜の飼料となる草や作物、さらには、家畜の飼育に必要な薬草の栽培もしています。これらの薬草は、資本主義経済のなかで、お金にならないために価値のないものとして村人たちからも関心を持たれなかったものです。それが村人たちへ同時に支援している家畜飼育と組み合わせることで、間接的にお金を生み出すことになります。
家畜の飼料作りや薬草の発酵液による家畜の薬も、モデルファームで栽培した薬草などから製造し、これから販売する予定にしています。
↑11月になっても雨が降ったおかげで、よく実がなるヘチマ
モデルファームでは、この環境を守り、現地の生態系にあった伝統的な農業技術を活用したアグロエコロジー的な農業を実践し、広めていくためのモデルにしたいと考えています。
少しずつですが確実に多品種の様々な作物の栽培が進んでおり、今後のモデルファームの変化に、また注目してください。
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記事執筆/
海外事業部アジア事業マネージャー
江角 泰