コンゴ・中央カサイ州における危機―人権侵害・性暴力という残酷な現実―

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コンゴ・中央カサイ州における危機―人権侵害・性暴力という残酷な現実―

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2016年から再び激化したコンゴ民主共和国(以下コンゴ)の紛争によって、2021年までに17,596人の命が奪われています。そして、そのうち約3分の1にあたる5,157人が、南東部のカサイ州・中央カサイ州周辺で亡くなっています。(※1)さらにこの地域では、現在でも89,691人が国内避難民となっており、命と暮らしが脅かされています。(※2)

 

そして、これらの痛ましい数字をもってでも表しきれないような残酷な現実が、この地域を含むコンゴの紛争地域で起きています。それが、人権侵害と性暴力。

 

武装勢力だけではなく政府軍からも行使される暴力。コミュニティを破壊するための「兵器」として戦略的に使用される性暴力。これらの非人間的な行為は、コンゴの紛争の根本的な原因である社会の分断に伴い、今でも深刻な問題となっています。


コンゴ紛争の根本的な原因と私たちの生活とのかかわりについてはこちら

武装集団と政府軍の両方から受ける暴力

 
中央カサイ州では、2016年8月に伝統リーダーが政府治安部隊によって殺害されて以来、武装集団カムイナ・ンサプとコンゴ民主共和国軍との間で激しい紛争が勃発しました。何千人もの人びとが亡くなり、2018年には100万人以上が避難していました。

 

避難民たちは、1日1食も食べられない状況で生活しており、どこの援助機関においても、資金も人材も不十分な状態にあります。

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水汲みをする女性と子どもたち(中央カサイ州、カナンガ)


政府軍は、市民が蜂起を支持していると非難し、暴力を伴う弾圧を主導しました。そのため現地では、武装集団と政府軍の双方による無差別暴力、大量破壊、戦争兵器としてのレイプの使用などが報告されています。

 

戦略的で残酷な性暴力の現実

 
「女性にとって世界最悪の場所」と呼ばれるコンゴでは、女性への暴力がとりわけ悲惨な形で行われてきました。

 

性暴力は、兵士の性的欲求を満たすのではなく、住民に恐怖心を与え支配するため、コミュニティを破壊するための「兵器」として戦略的に使用されてきました。5歳にも満たない子どものレイプ被害、家族の前での暴行、性器の切断。想像を絶するような暴行が行われているのです。
 

国連コンゴ民主共和国安定化ミッションの報告によると、2020年でもコンゴ全体で1,053件の性暴力が発生しています。そのうち女性と少女への被害がほぼ全数の1,045件を占めています。

 
紛争が激化していた2018年、テラ・ルネッサンスの活動拠点である中央カサイ州カナンガ市では、少なくとも2,600人の性暴力被害が報告されていました。

 
被害は現在も続いています。UNHCHRの報告によると、中央カサイ州での性暴力は、2020年1月〜2021年5月までの間に、350件発生しています。被害件数が減少しているとしても、被害にあったひとり一人が受ける傷の大きさに、違いはありません。

危機を悪化させる、社会の分断

 
さらに、カサイ地域の国内避難民・難民数は減少しているものの、この地域の危機は、近年ますます深刻化しています。

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より不安定化したきっかけは、2019年から2020年にかけて、アンゴラ政府に追い返された約10万2000人のコンゴ難民が、この地域に流入したことでした。

 

2020年4月には、二つのコミュニティ間の危機が発生しています。一つ目は、カサイ州のムウェカで発生した、クバ族とケテ族の間の対立です。そして二つ目は、中央カサイ州のディンベレンゲにて、バクア・カニンガ族とバクア・ンデエ族のコミュニティ間で発生しました。

 

異なるコミュニティ間の関係性は急激に悪化し、暴力を招きました。土地紛争、そして隣り合う集団の境界をなす森林の支配に根ざしたコミュニティ間の暴力は、殺人、レイプ、家屋への放火、悪質な畑の破壊などにつながっています。

 

その結果、これらのコミュニティの間に不信感が広がっています。攻撃を恐れて、コミュニティのメンバーは森林を利用しなくなった結果、ほとんどの世帯の収入が減少し、現在、大きな社会経済的脆弱性と貧困に直面しているのです。

絶望的な状況にあっても、内にあるたくましさ

 
テラ・ルネッサンスは、このような状況の中央カサイ州において、性暴力を受け、脆弱な状況にある女性の自立支援を行なっています。そして、コンゴ国内の元子ども兵たちに対しても、職業訓練を実施してきました。

 

彼ら・彼女らの負った心身の傷は、言葉に表せないほど深いものです。しかし、自立支援を通して、彼らが一歩ずつ、自分と大切な家族の暮らし、そして心からの笑顔を取り戻していく姿を、私たちは見てきました。

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まだ「平和」まで遠いコンゴ。でも、必ずそこにたどり着くことができる。その確信を胸に、テラ・ルネッサンスはこれからも、彼ら・彼女らに寄り添った支援を実施していきます。

 

※1 Uppsala Conflict Data Programホームページ https://ucdp.uu.se/country/490

※2 UNHCRホームページ https://data2.unhcr.org/en/situations/drc

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テラ・ルネッサンスは、「いま」、「平和への願い」を結集し、「いのち」を守るために、ウクライナ・コンゴ危機緊急支援を実施しています。

「すべての生命が安心して生活できる社会(=世界平和)の実現」。 

―テラ・ルネッサンスのビジョン(設立目的)です。

ウクライナ危機に関する連日の報道を受け、
「世界平和を目指す私達が、ウクライナの危機に行動しなくていいのか?」
「しかし、私たちの活動地でもやるべきことがある。」
と、自問する日々が続きました。
 
世界平和を使命とする私たちとして、ウクライナで危機にある「いのち」を守りたい。 そして、国際的な関心が集まる今こそ、他地域の「平和」についても、皆さまと共に考え、行動したい。 これらの想いをあわせて、ウクライナ難民の方への緊急支援と同時に、コンゴ民の危機についても支援の必要性を訴える決断をしました。
 
平和への願いを、いま世界中の人が持っています。 今こそ、「平和への願い」を結集させ、「いのち」を守ることができる。争いのない世界へ、社会を根本から変えていける、と、私たちは確信しています。

皆さまのご支援とご協力を、どうぞよろしくお願いいたします。 スタッフ一同より

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