【児童労働反対世界デー】紛争下に潜む児童労働へのリスク
6月12日は児童労働反対世界デーです。テラ・ルネッサンスが参加するCL-Net(児童労働ネットワーク)では、6月の1ヶ月間をかけて、児童労働の撤廃を訴える「レッドカードアクション」を行っています。
レッドカードアクションとは、国際労働機関(ILO)が世界的に展開するキャンペーンの一つで、児童労働の問題を伝え、問題解決に向けた取り組みの必要性を訴えかけることを目的とし、児童労働に反対する意思をレッドカードを掲げることで表明し、世界に広げるための取り組みです。
今回は、紛争下で子どもたちが抱える児童労働に引き込まれるリスクやその実態についてお伝えします。
みなさんは、「児童労働」と聞くと、どんなことを思い浮かべますか?
スラム街でごみあさりをする子ども、路上での物販や靴磨き、山岳地域で農業に従事する子どもなど、イメージされるかもしれません。
児童労働は、それ自体が子どもたちの未来を奪うとされる、深刻な課題ですが、紛争下では命の危険をも伴う児童労働が行われています。
女性や子どもなど、もともと脆弱な立場にある人々は、紛争や災害において大きな影響を受けます。
子どもたちは、紛争下で家族と離れ離れになってしまうと、それだけで人身売買や児童労働に利用されるリスクが高まってしまいます。
紛争による経済の悪化もまた、子どもたちが児童労働に引き込まれるリスクに大きく影響します。
日本では、多くの人が学校に通い、友だちや先生と対話をし、教育を受けることができます。しかし、紛争下においてそれは、当たり前なことではありません。
特に、紛争下で家を追われ、難民となった子どもたちが、家族や自分の生活のために学校での教育を中断し、児童労働に従事するケースは少なくありません。他にも、移動先で通う学校の言語や、カリキュラムに適応できず学校をやめてしまい結果的に、児童労働の従事にしてしまうこともあるそうです。
更に紛争は、学校や教育施設を損壊、破壊、人事目的に利用するため、紛争で傷ついた子どもたちの社会復帰を困難にします。紛争下では、学校は子どもたちにとって、教育を受けることのできる、安全な場所ではなくなってしまいます。
家や学校などの居場所を奪われ、紛争に命と暮らしを脅かされた子どもたちは、移動先での児童労働や、紛争地域で危険を伴う紛争資源の採取に関わる児童労働、更に、「最悪の形態の児童労働」の一つといわれる子ども兵として働くような状況に陥ってしまいます。
「紛争」や「子ども兵」と聞くと、どこか遠い国のことの様に感じてしまいませんか?
しかし、私たちの生活や消費サイクルが「最悪の形態の児童労働」に従事をする子どもの存在を作っているかもしれません。
テラ・ルネッサンスが支援を続けているアフリカのコンゴ民主共和国では1996年から20年以上紛争が続いており、子ども兵の使用も深刻な状況です。この紛争は単なる民族対立のみが原因となっているわけではありません。コンゴでは、私たちが普段使用しているスマートフォンや、パソコンの部品として欠かせない鉱物が多く採掘されています。コンゴの武装勢力は、鉱山周辺を襲い、鉱物を不法に採掘し、先進国やグローバル企業と不法な取引を行うことで、活動資金や武器を得ています。また、コンゴでは、子どもたちがレアメタルを採掘する危険な児童労働も行われています。
私たちの便利な生活の裏側には、子どもたちへの深刻な人権侵害があるのです。
世界で起こっている児童労働の問題と私たちは、決して無関係ではありません。
コンゴを含め、今も世界各地では紛争が続いており、また、その紛争下では子ども兵や、劣悪な環境で児童労働に従事する子どもが数多くいます。
テラ・ルネッサンスは、子どもたちの「未来をつくる力」を削ぐ児童労働に断固として反対します。
そして同時に、今この記事を読んで下さっている皆さんにも、ご自身の便利な生活の犠牲になっている紛争や児童労働について考え、反対の為に共に声を上げていただきたいです。その一つ一つの声が子どもたちの命や暮らし、そして「未来をつくる力」を守ります。
参照文献
International Labour Organization, Labour standards, C182 - Worst Forms of Child Labour Convention, 1999 (No. 182)
https://www.ilo.org/dyn/normlex/en/f?p=NORMLEXPUB:12100:0::NO::P12100_ILO_CODE:C182
国際労働機関(ILO) .児童労働反対世界デー2017:紛争や災害の被災地で、子どもたちを児童労働から守る
https://www.ilo.org/tokyo/areas-of-work/child-labour/WCMS_554843/lang--ja/index.htm#banner
~皆様もご友人・ご家族と「レッドカードアクション」に参加してみませんか? ~
1.まず『ILOレッドカード』を以下のURLからダウンロードし
2.そのレッドカードと共に写真を撮り、 #STOPCL とハッシュタグをつけてSNSに投稿して、シェアします。
詳細はこちらから↓
https://stopchildlabour.jp/2021/redcard/
次回以降では先述した子ども兵や、難民と児童労働の関りについて更に詳しく解説します!
#STOPCL
記事執筆/
啓発事業部インターン
鈴木 千花