【緊急支援活動レポート】ウクライナ難民・国内避難民を支える生活支援
これまで、テラ・ルネッサンスではウクライナ難民・国内避難民の方々の生活を支える生活支援を行ってまいりました。本レポートでは、その中でも「食料品・生活用品支援」と「避難場所の整備」の様子を、紹介します。
特に紹介したいのは、ハンガリーの活動の中で、「自分にできることを」と、地元の方が支援にご協力くださるケース、そして、食料・生活用品の支援に留まらず、個々人の細かいニーズに併せた支援のケースです。
住み慣れた土地を離れた避難生活が続く中で、テラ・ルネッサンスは生活の様々な面において、時々のニーズに合わせた支援を行っています。
■ ①食料・日用品の支援
これまで、ウクライナ西部やハンガリーの国境地域で、週1回ペースでニーズを聞き取り、物資(食料・日用品・薬等)調達・運搬・供与の一連の支援を行なってきました。
食料であれば、肉、野菜、果物、調味料、食料油、小麦粉などを主に提供し、日用品については洗剤、シャンプー、歯ブラシ、生理用品、衛生用品、トイレットペーパーなどをウクライナの各避難場施設へ届けています。
【左:食料を調達・運搬 / 右:提供している様子】
食料・日用品支援が必要とされている背景として、ハンガリー政府や各自治体が国内に留まる難民に避難場所を提供している一方で、十分な支援が全ての施設に行き届かず、民間の民宿オーナーや教会の施設など難民の滞在場所としてボランティアで提供していることが挙げられます。
ハンガリーでは、ハンガリー政府や各自治体が国内に留まる難民に避難場所を提供していますが、それだけでは十分な支援が行き届いていません。そのため、民間の方、例えば民宿のオーナーや教会の関係者などが、ボランティアで施設を開放しています。
しかし、ボランティアで運営されている避難所には、公的な支援はされておらず、ボランティアの方々が、全ての滞在者に日々の食料や日用品を継続的に提供することは非常に困難です。
そこでテラ・ルネッサンスは、物資の調達・提供を通じて難民とボランティアの方々を支援しています。行っています。さらに、このような(民間の)避難施設で難民の方々のニーズを直接聞くことで、各地で必要な食料、日用品、そして、個々人が必要としている物・支援を提供しています。
■一人ひとりのニーズに合わせた、細やかな食料・日用品支援
上記の通り、テラ・ルネッサンスの生活支援のほとんどが、食料・日用品の物資ですが、その他にも、テラ・ルネッサンスでは個人のニーズに合わせて、支援することを大切にしています。
例えば、医療品の提供です。ウクライナから逃げてきた際に薬がなくなってしまった場合には、処方箋を書くことができる薬剤師の方の協力のもと薬を提供したり、糖尿病用の血糖値を測る機械や、アレルギーに応じた食料を提供したりするなど、ニーズに応じて柔軟に、毎週、物資を届けています。
【細やかなニーズ対応の例 (e.g. 薬品, 医療機器, アレルギー患者用の食事) 】
さらに、5月上旬に、ウクライナ西部・ザカルパッチャ州に逃れてきた男性は、ウクライナの戦闘で怪我をし、足の手術が必要な状態でした。そこで、すぐに手術および治療費の支援を行いました。
他にも、ハンガリーで出会った難民の方の電動車椅子が故障し、バッテリー交換が必要だったため、バッテリー代と修理代を支援したケースもあります。
このように、生活に必要なものは人それぞれ違います。可能なかぎり、私たちも、一人ひとりに寄り添った支援を続けていければと思います。
■ハンガリーで支援の輪が広がっています
現地で支援を続けていく中で、ハンガリーの地元の人々から直接支援物資を提供してもらい、避難民に届けるケースが増えています。
例えば、テラ・ルネッサンスの活動を支えてくれているフィールドスタッフの繋がりで、ハンガリーのパン工場からパンを無償で提供していただいています。このパンは、その他の食材とともに、当面は2ヶ月間程度、毎週、ハンガリーのマリアポーチ村とホダス村の難民に届けられます。。
ハンガリーでは、人と人の「繋がり」がとても大切にされており、日本の義理人情に似たような文化があります。このように繋がっている人それぞれが、自分にできる事を申し出てくれていることに感謝しています。また、地元の方々によるこうした協力が私たちの活動を支えてくれていることを実感しています。
■ ②施設整備への支援
ウクライナ難民・国内避難民は住み慣れた土地を離れ、避難場所での生活を余儀なくされます。ただ、そうした場所は、普段は避難場所として使用されていないため、最低限の生活を続けるためには、整備が必要です。
例えば、寝具と軽食を提供しているウクライナ西部・キシュセルメンツ村の施設へは、洗濯機と乾燥機の提供、、そしてシャワー室・ボイラーの設置支援を行いました。
▼キシュセルメンツ村で行われた施設整備の様子はこちらから↓
【施設整備を行ったキシュセルメンツ村(地図左上)】
こちらの施設はもとは2階建ての雑貨店で、雑貨店のオーナーが国内避難民に避難場所としてスペースを提供している状況です。これまでテラ・ルネッサンスは、毎週食料等を補充したり、子ども達にテレビやおもちゃを提供したりしています。避難民の方の数に変動はありますが、シャワーなどの十分な整備がない中で、数十人以上が常時生活をしているため、設備の支援を行いました。
特にシャワーを設置したことで、20〜30人が温かいシャワーを毎日浴びることが出来るようになりました。また、水道を2階まで通すことで、乾燥機と洗濯機を使用することが出来るようになりました。現地スタッフによると、乾燥機・洗濯機はほぼフル稼働で使用され、避難民の方々もとても喜んでいるとのことです。
この避難所は短期から中長期の避難民の受け入れを行っています。、そのため、これからも定期的に食料や、生活に必要なものをヒヤリングしながら調達し、届けていきます。
【左:シャワー取り付け前 / 右:取り付け後】
▼シャワールームの様子はこちらから↓
■平和を、すべての人へ。支援活動に、ご協力ください。
故郷を離れて避難を続ける人にとって、避難生活は、先の見えない、不安が募る辛い時間になります。私たちは、この生活支援を通じて、日々の生活をより安定させ、難民・避難民の方の不安を少しでも軽くしたいと思っています。
引き続き食料品・日用品の定期的な供給と、個々人に必要な支援を汲み取った柔軟な対応を続けていきたいと思います。
私たちの活動の目的は、最も脆弱な人々の「いのち」と「暮らし」を守ること、です。
これまでのハンガリー・ウクライナでのニーズ調査や緊急支援は、「支援の手から取り残されている人々は誰か?」を意識して行ってきました。
そして、特にウクライナ西部ザカルパッチャ州の国内避難民に対しては、支援ニーズが高いにも関わらず、ほとんど援助が入っていないことが分かりました。
そうした背景からテラ・ルネッサンスは、難民・避難民や、彼らを受け入れているホストコミュニティへの食料・日用品の支給、炊き出し拠点の設置等の緊急支援だけでなく、避難生活が長引くことを鑑み、生計向上のための支援も実施することを決定しました。
そのため、隣国ハンガリー・ブダペスト市に事務所を開設し、腰を据えた中長期的な支援活動を開始します。
また、ウクライナだけではなく、紛争でいのちの危機に陥っている世界中の人々への支援が必要だという観点から、紛争が続くコンゴ民主共和国(以下コンゴ)の紛争被害者の支援も強化することにしました。
これらの活動経費として、7月31日までに4,000万円のご寄付を呼びかけています。
現地の最新状況、支援報告は、これからもウェブサイト、SNSを通じて随時発信していきます。
皆さまのご理解・ご協力を、どうぞよろしくお願い申し上げます。
報告/
理事長・海外事業部長 小川真吾
(4月3日にハンガリー派遣)
理事・大槌刺し子事業部長・政策提言推進室長 吉田真衣
(3月17日にハンガリー派遣)
佐賀事務所グローバル人財育成事業室・政策提言室 佐々木純徹
(3月17日にハンガリー派遣)
執筆/
啓発事業部インターン 富山もも