『だから、私も。』02.取り残されてきた地域の確かな希望
『だから、私も。』は、冬季募金キャンペーン2022『私も、あきらめない。』期間中にお送りする特別連載ブログです。第二弾のテーマは「ウガンダ共和国・カラモジャ」。気候変動や食料不足、そして昨今のコロナやウクライナ危機の影響を受ける地域の希望についてお伝えします。
このブログを通して、テラ・ルネッサンスが見てきた、支援の先にいる人々の『あきらめない』を知って、共に平和へと歩みを進めていただくきっかけにしたいという想いでブログを書いています。
■はじめに
テラ・ルネッサンスは2022年10月18日、19日に、ウガンダの「カラモジャ」という地域にあるコティド県で緊急食料支援を実施しました。
カラモジャは、ウガンダの中でも特に開発から取り残されてきた地域と言われています。更に、昨今のウクライナ危機による食料・燃料価格の高騰や、気候変動による干魃により、深刻な食料難に陥っています。テラ・ルネッサンスは、今までカラモジャ地域での支援経験がなかったものの、このような状況を受け、5月から調査を行い、支援を実施することにしました。
また、カラモジャの地域、そして人々の生活を持続可能にするためには、援助だけに頼らない自立支援も必要です。今後は緊急支援と共に自立支援も行っていきます。
本ブログでは、カラモジャの窮状、そして、なぜ「今」私たちが、カラモジャで支援を行うのかについてお伝えします。
◼︎取り残されてきた地域に重なる危機
「カラモジャ」地域とは、東アフリカの、ウガンダ共和国北東部に位置する地域です。テラ・ルネッサンスが緊急支援を行ったコティド県を含む 9つの県にわけられています。
カラモジャは半乾燥地帯であり、生業は主に牧畜、そして乾燥に強い「ソルガム」といわれる穀物です。
しかし、カラモジャは半乾燥地であり、雨量が少ないことから、食物の生産が限られ、恒常的に食料難な状況にあります。
さらにカラモジャは、ウガンダの歴史の中で、最も開発から取り残されてきた地域でもあります。現在、カラモジャの人口の約7割以上の人々が貧困に陥っています(1)。また、この食料危機による人々の栄養失調も深刻な課題であり、2歳以下の子どもの約9割(2)が栄養バランスの取れた食事を取れていない状況にあります。
さらに、昨今のコロナ危機、ウクライナ危機による食料、日用品の価格高騰により、その貧困率は更に上昇し、餓死者が出るほどの状態に陥っています。このような状況で、人々は食物を育てるどころか、「その日をどう生き抜くか」という課題を抱えています。本来は植えて育てるために支給された種や、雑草、家畜のえさを食べたり、またある時は有毒な野生の植物を食べ、死亡してしまうケースもあります。また、この地域ではマラリアや腸チフスだけでなく、結核が流行しており、栄養状態が悪化すれば、間違いなく、こうした病気や感染症により命を失う人々がさらに増加します。
◼︎取り残されてきた地域に見る「だから」
カラモジャでの度重なる危機的な状況を受け、テラ・ルネッサンスは、今年10月に2日間にわたり、カラモジャのコティド県で緊急食料支援を行いました。チャイルドマザー、シングルマザー、障害者、高齢者、未亡人、HIV/AIDS患者、最貧困層、また、聞き取り調査の中でより緊急の支援を必要としていることが明らかになった世帯、計163世帯を支援しました。
実施した食料支援は、緊急的且つ限られた世帯数への支援ではあったものの、この2日間を通して、私たちはカラモジャが抱える大きな課題を目の当たりにしました。同時に、「カラモジャで自立支援は必ずできる」という、確かな希望を感じました。
なぜなら、カラモジャには、広大な土地、そして食物を育てるために十分な土壌があるからです。また、現地の村で出会った人々から、自立の意思や、農業への意欲も感じました。そこで、私たちは、自立支援を目指し、カラモジャに降る雨を集水し、畑に水を引くことで、地域内での持続可能な食料生産ができる状態を目指すことにしたのです。
■なぜ、今、私たちがカラモジャで支援を行うのか
テラ・ルネッサンスは、「誰ひとり取り残さない支援」を追及してきました。カラモジャは「取り残されてきた」地域であり、残されてきた課題が顕在化している「今」こそ、支援を行わなければいけない。私たちはそう考えています。
新しい場所で、調査を進めたり、様々なチャレンジが続きますが、人や土地など、カラモジャの「あるもの」を活かした支援を模索しながら支援を行っていきたいと思います。
コロナ危機やウクライナ危機を受けて、不安な日々が続いていることは私たちも同じかもしません。しかし、こうした危機は、取り残されてきた、脆弱な人々により深刻な影響をもたらします。遠い国で起こっていることのように感じてしまうかもしれませんが、皆さまにも海の先の人々へ想いを馳せ、共に、誰一人取り残さない、「すべての生命が安心して生活できる社会(=世界平和)の実現」へと歩みを進めていただけますと幸いです。
◆◇ 冬季募金キャンペーン2022 ◇◆ 実施中!
紛争の被害を受けている彼ら・彼女らと力を合わせ、ともに厳しい状況も乗り越えたいと願っています。そのための支援に、寄付という形で、皆さまにご協力いただけますと幸いです。 スタッフ一同より
記事執筆/
啓発事業部インターン 鈴木千花
執筆サポート/
啓発事業部 津田理沙
報告/
海外事業部アフリカ事業 ウガンダ事業調整員 田畑勇樹
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参考文献
(1) the Uganda Bureau of Statistics(2021)”,UGANDA NATIONAL HOUSEHOLD SURVEY 2019/2020 REPORT”, https://www.ubos.org/wp-content/uploads/publications/09_2021Uganda-National-Survey-Report-2019-2020.pdf
(2)UNICEF(2021), “KARAMOJA NUTRITION PROGRAMME”, https://www.unicef.org/uganda/media/3886/file/KNP%20launch%20Booklet.pdf