【特別レポート】「命の危機」の現場から伝えたいこと
【2023年度特別募金】【ウガンダ駐在職員・田畑勇樹からメッセージ】
皆さま、いつもテラ・ルネッサンスにご関心をお寄せいただきありがとうございます。ウガンダ駐在員の田畑です。私は今、テラ・ルネッサンスが2023年2月から新たに事業を開始した、ウガンダ北東部カラモジャ地域にて、このメッセージを書いています。
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あなたたちが、もう少し早く来てくれていたら、
何人が命を落とさずに済んだだろうか・・・
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昨年、この地域で事業を開始するための調査をしていた時、支援対象となる村で出会った女性から言われた言葉です。この地域では昨年、飢餓によって1,600人以上の人々が命を落としました。
2022年2月、ロシアによるウクライナ侵攻以後、カラモジャ地域では食料価格が急激に高騰しました。貧しい人々は食べ物を買うことができません。その上、半乾燥地帯に属するカラモジャでは食料生産も難しい状況があります。
この地域の最大の問題は、飢えであり、貧しさです。人間として最低限の生活を送るために必要な食事すら満たされない状況が、彼らを生き残るための犯罪へと誘います。食料の強奪等を目的とした若者による犯罪・襲撃等の被害も含めるとこの地域では3,000人以上が命を落としました。
障害を持つ女性とその子どもたち。働き頭の若者がおらず取り残される家族
実際に村を訪問すると、想像を超えるような「命の危機」がそこにありました。
数日間雑草しか食べることができず、下を向くしかない家族。
窃盗団によって働き頭の若者を殺害された家族。
生まれたばかりの赤ちゃんを抱えて、途方にくれる女性。
そのすべてが、私のこれまでの人生において、一度も直面したことのないような絶望でした。それでも、人々は一日一日を必死に生きている。自らの力で、家族や地域の人々を支えたいという意志をもった若者たちの存在は、まさにこの地域の希望でした。
村訪問を終えた時、私の心はもう、決断していました。「この地域で必ず、飢餓や貧困に苦しむ人々を対象とした支援活動を始める」と。
地域住民が自らの手で、食べものを作ることができるよう、自立支援を開始
こうしてテラ・ルネッサンスでは、2023年2月より、飢えに苦しむこの地域の人々が、自らの力で畑を耕し、食べていくことができるよう、農業を通した自立支援事業を開始しました。
乾燥地帯でも安定した農業ができるよう、まずは灌漑インフラ設備の建設を進めています。そして同時に、地域住民による食料生産活動も始まりました。
初めて、調査に来た時から1年。事務所開設に始まり、ともに働く現地スタッフの採用まで。できる限り早く、事業を始められるよう尽力してきました。
農業事業ならではのたくさんの問題にも直面しています。天候不順による作付けの遅れ、乾燥が原因の害虫被害。それでも支援対象者である地域住民と手を取り合って、課題の対処方法を共に考えながら活動を進めてきました。
こうして今、支援対象者との信頼関係も築くことができ、ようやく事業が軌道に乗りつつあります。
以前から飢えに苦しみ、援助団体の食料配給を頼みの綱にしていた、ある支援対象者はこのように話してくれました。
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食べものを作ったり、売ったりすることによって
自分の力で家族を養えるようになるのが楽しみだ
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農地を耕す彼らの姿はエネルギーに満ち溢れていて、とても眩しいです。この事業を通して、農業に励む地域住民が、将来にわたって、自らの手で食料を生産し、村の片隅でお腹を空かせた人々の胃袋を満たすことができるなら。
テラ・ルネッサンスは、農業支援支援を通して、地域住民の自立した生活を達成するだけではなく、この地域全体の平和に貢献すると私は確信しています。
支援対象者の農業グループ (写真中央に映るのが田畑)
しかしながら、私たちの組織は今、設立以来最大の危機にあります。活動資金の大幅な減少により、いくつかの事業の縮小・撤退について検討せざるを得ない状況です。
カラモジャ事業も規模縮小の候補となっています。この地域のため、支援の受け手の人々のため、そしてともに働く現地スタッフのため、事業を守るのが私の使命だと思っています。
絶対にここで活動を止めるわけにはいかない。私たちテラ・ルネッサンスは、現在飢えや貧しさに苦しむ人々が、自らの手で命と暮らしを守ることができるよう支えていきたい。
いつも応援をいただいている皆さまにお願いするのは恐縮ですが、どうか私たちの活動を、命と暮らしの危機で苦しむ人々の自立を、一緒に支えていただけないでしょうか。
お寄せいただいた寄付は今日お伝えしたカラモジャ事業をはじめとする世界平和の実現を目指すテラ・ルネッサンスの全ての事業で大切に活用させていただきます。
ご支援とご協力、よろしくお願い申し上げます。
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記事執筆/
海外事業部
田畑 勇樹
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