【カンボジア】農協の運営強化支援 ~会計指導のこれまでの活動と課題~
【2023年9月 活動レポート/カンボジア】
カンボジアでは2023年1月からバッタンバン州サムロート郡にある農協(名称:バイトーン農協)の運営を支援する事業を行っています。地雷被害者や貧困層などの脆弱な世帯への家畜飼育を通した支援の仕組みを作り、その制度をバイトーン農協が持続的に運営できる体制を構築することを目指しています。この事業は、JICA草の根技術協力事業(業務委託事業)として行っています。
▼今までの事業レポートもあわせてご覧ください。
・【カンボジア】地雷埋設地域にある農協の運営強化支援を開始(2023年5月)
・【カンボジア】いよいよ家畜飼育支援制度が始まりました!(2023年7月)
・【カンボジア】農協職員たち、すごく頑張っています (2023年8月)
↑バイトーン農協の組合長、幹部職員、若手職員と当会の現地スタッフ
バイトーン農協はテラ・ルネッサンスが支援を開始する以前から組織化されており、独自の活動も行われていました。またカンボジア政府に登録している農協であるため、政府が定める農協の法律に従って、会計処理や会計報告を行う必要があります。
家畜飼育を通した支援の1つとして家畜飼育用製品を製造、販売する計画があります。それらの製品管理や農協の会計処理を適切に行うこともバイトーン農協が持続的に活動するための組織運営にとって重要な柱であると考え、テラ・ルネッサンスの農協運営指導担当の私が会計業務に対する指導を行っています。
私が事業開始後まず初めに行ったことは、会計処理に関する現状と課題の把握、カンボジアの農協の会計規則を知ることでした。組合長や幹部職員からのヒアリングや会計書類や会計作業の確認を通して、現状と課題を把握しようとしましたが、会計という領域は、組織のお金にまつわる様々な情報を必要としており、組合長や幹部職員は、当初それらを組織外の私たちに伝えることに、抵抗があったようです。また彼ら自身も会計業務の全体像を把握できていないこともあり、ヒアリングするたびに返ってくる答えが違うということも多々あり、私も度々混乱してしまいました。
↑ヒアリングと行うプロジェクトマネージャーと農協運営指導担当
それでも、プロジェクトマネージャーを中心に、組合長や幹部職員と対話を重ねることで、会計に関する様々な情報を提供してもらえるようになりました。帳簿の作成に関しては、年配の幹部職員が、現金出納帳などの書類をすべて手書きで作成し、さらに集計するために、何度も何度も手書きで、転記作業を行っていることがわかりました。本当に気の遠くなるような作業だと思います。
そこで、新規に採用した若手の会計担当職員が、これらの会計処理をパソコンで管理できるように指導を始めました。パソコンでの入力作業だけでなく、証票の管理方法の指導や会計業務のフローの見直しなどのアドバイスも行っています。
そして、取引が発生すれば速やかに記帳し、領収書を保管すること、定期的に現金有高と帳簿残高の照合を行うことなど、まずは出納業務の基本を徹底する取り組み行っており、事業開始当初と比較して各段に進歩したことが実感できるようになりました。
バイトーン農協の職員と当会の現地スタッフ
それでもまだまだ上手くいかないこともあります。そのような場合も、できないことを責めるのではなく、なぜできないのか、その理由やどのようにすればできるようになるのかを、バイトーン農協の職員と一緒に考えながら事業を進めていきたいと思います。
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記事執筆/
海外事業部
西川