【カンボジア】事業の要!家畜たちの健康を守る 獣医訓練
【2023年10月 活動レポート/カンボジア】
バッタンバン州サムロート郡では、JICA(独立行政法人国際協力機構)草の根技術協力事業(業務委託事業)として、現地の農協に新しい職員たちを迎え入れ、彼ら・彼女らの育成を通じた農協の運営強化支援を行っています。
地域の脆弱な世帯に対して、鶏・アヒル・ヤギ・豚といった家畜の飼育支援を行うのですが、この家畜飼育支援を農協が主体となって運営し、持続的に地域の生活向上を推し進められるようになることが事業の目標です。
現在、農協から支援を受ける世帯では、飼育をはじめて3ヶ月。鶏やアヒルは卵が孵化し始め、ヤギや豚は繁殖が可能になるなど順調に生育しています。
↑ヤギにバナナの葉(餌)をあげる対象世帯の子ども
ただ、どの家畜も、軽い風邪や皮膚病など、病気はつきものです。
今は、家畜担当の農協職員たちはテラ・ルネッサンスのカウンターパートの農業・畜産の専門家が農協職員に指導して対応をしていますが、2026年1月の事業終了時には、家畜の病気に農協職員だけで対応する力をつけてもらわなければなりません。
そのための獣医の育成訓練を、2023年9月から開始しました。
↑獣医(右)と授業を受ける農協職員たち(中央〜左)
訓練では、地域の獣医を先生として、農協の家畜飼育担当職員(家畜に関するサポートを担当する農協職員)が、家畜ごとに病気の種類・症状・対応の仕方・薬の知識などを45日間かけて教わります。
また、家畜飼育担当の職員たちは、鶏やアヒルは飼育したことがあっても、ヤギや豚の飼育は経験が少ないので、実際のノウハウを学びに、地域の養豚業者に見学にも行きました。
訓練を始めて1ヶ月たった今月には、学んだ知識の中間テストを行いました。理解度は6割ほどで、特に職員の1人は、たくさん種類のある薬の名前や効能が、まだ覚えきれていないと言っていました。訓練の最後に、もう一度修了テストを行い、十分理解していれば、獣医として活動するのに合格です!
家畜が病気になる頻度は、執筆者の想像以上に多く(毎日のように電話が来る!)、また4種もの家畜を支援しているため、さらに多様な対応が求められることもわかりました。
まさに、獣医の役割は、家畜飼育制度を現地化(農協だけで持続的に運営できるようになる)するための要だと再認識しています。
訓練している間にも、治療対応が舞い込みます。日々学んだ知識を実践に移している彼らであれば、家畜飼育支援制度を獣医として強力にサポートしてくれると期待しています。
引き続き、彼らが獣医として十分知識と技術を身につけ、農協の活動を支えられるよう、訓練を進めていきます。
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記事執筆/
海外事業部
津田