【カンボジア】シーズン到来!!ハリナシミツバチの養蜂フォローアップ
【2024年1月 活動レポート/カンボジア】
バッタンバン州カムリエン郡では、2017年に始めた障害者100世帯への生計向上支援の活動の1つとして、ハリナシミツバチの養蜂支援を実施しました。
カムリエン郡と国境を接するタイのチャンタブリ県にある養蜂センターで訓練を受け、ハリナシミツバチの養蜂を5世帯に始めてもらいました。
11月から乾季に移行するカンボジアでは、カムリエン郡においては蜜源となる花が咲き、雨が降るとミツバチたちが、外で活動できませんでしたが、一気に蜜や花粉を集めに外に出てきます。
1月12日にカムリエン郡で養蜂をしている9世帯を、私と農業専門家のスーン先生と訪問し、コロニーの様子を確認しました。
【巣箱を内見する農業専門家のスーン先生】
巣箱を開けて中の様子を見る瞬間が、一番気持ちが高ぶります。繁殖して、蜜がたくさん貯まっているかどうか、不安も半分、期待も半分という感じです。
今回は、数箱の巣箱で死滅しているコロニーがありましたが、生き残っているコロニーは、ほとんどがとても元気で、卵や蜜、花粉で、巣箱が一杯になっていました。
【左から蜂蜜、真ん中の黄色い花粉のポット、
右側の卵と綺麗に分けて巣箱いっぱいに広がったハリナシミツバチの巣箱の中の様子】
これらの巣箱に一杯になったコロニーは、別の巣箱に分ける分蜂をしました。分蜂をすることで、コロニーを増やしていくことができます。最初は5群から始めましたが、今では今回分蜂できた巣箱を含めると26群にまで増やすことができています。
また2021年には、分蜂したコロニーを15箱ほど販売もして、養蜂世帯の収入に繋がっています。1月12日は、蜂蜜もたくさん貯まっていて、2世帯ほど収穫しましたが、収穫するための容器を用意できていなかったため、その多くは収穫していません。
【収穫したハリナシミツバチの蜂蜜を見て喜ぶウム・ライさんの奥さん】
収穫した1世帯のうちの一つであるウム・ライさんの奥さんは(地雷被害者であったウム・ライさんは2019年に亡くなった)、ちょうど蜂蜜を食べたいねと娘たちと話をしていたそうです。
そこに私たちが来て、巣箱の確認をして、蜂蜜も収穫してくれたとのことで、とても喜んでいました。
一点、大きな問題を今回発見しました。それは、巣箱がシロアリに食べられているケースがかなり見られた点です。これまでも赤蟻やシロアリは、養蜂する上で問題となっており、巣箱を設置する木にオイルを塗ったり、対策をしてきました。
ただ、シロアリは、巣箱の底まで食べているものもあり、新しい巣箱に替えると共に、設置する方法もアドバイスをしました。
【地雷被害者のイム・ラットさんの家では3箱の巣箱を分蜂し、合計7箱に】
以前は森がたくさんあり、大きな木の裏などに多く生息していたハリナシミツバチですが、カンボジアでは、森が少なくなると同時に、ハリナシミツバチ自体も非常に少なくなっています。
希少になっているため2024年2月にはUNESCOのプロジェクトで、カムリエン群からコロニーと巣箱を購入したいという注文が入っています。
蜂蜜も収穫できる量が少ないため希少ですが、コロニーの販売でもいい収入に繋がっています。これまでハリナシミツバチの蜂蜜やコロニーの販売で、累計でUS$3,390の収入になり、一番多い世帯でUS$660の収入を得ています。
私たちの活動は、その他の家畜飼育や野菜栽培などを組み合わせて、1つに依存しない生計を構築することを目指しています。その中で、
ほとんど毎日の手間がかからないハリナシミツバチの養蜂は、いい副収入になっています。同時に、多様な自然環境が失われると、ミツバチが生息できなくなり、村人たちの収入も減ってしまうことを理解してもらい、自然と共生する農業を広めていきたいと思います。
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記事執筆/
海外事業部カンボジア事業担当
江角 泰