【ウクライナ】厳しい冬とウクライナの今
【2024年1月 活動レポート/ウクライナ】
年が明けた1月上旬、ウクライナの活動地域へ行ってきました。
ハンガリーで氷点下の気温が続く中、ウクライナも昨年に比べて今年の冬はかなり厳しい寒さです。正午近くでもマイナス6度までしか気温があがらず、池や小川はもちろんのこと大きな河川なども凍ってしまうほど、寒い日々が続いています。
そして、相変わらず争いは収まる気配もなく、どんどん成人男性がいなくなっている状況を目の当たりにしました。小さな集落はもちろんですが、最近は街中でも子どもや老人以外の男性を見かけることが少なくなってきており、間接的にも戦局があまり思わしくないということが見受けられます。
昨年末には「すでに50万人ほどのウクライナ兵士がロシアとの戦闘によって死亡、または戦闘不能に陥っている」との情報も入ってきました。(※)こうした戦局の悪化からウクライナ政府も追加動員や徴兵対象者の拡大などの法案を出しており、今年に入ってさらに徴兵に力が入れられています。
具体的には、各都市の主要道路に検問ポイントがひかれ、兵役免除の書類をもっていないものはその場で強制的に連れていかれるということが日々行われています。それによって、近隣諸国への密入国の数が増えているだけでなく、脱出できる人はあらゆる手段をもって試みるため、その途中で命を落とす方々も少なくありません。特に冬の極寒時の脱出は凍死するリスクも高く、行方不明者の数も日増しに増えています。
【凍っている河川の様子】
ハンガリー東部の支援対象地域でも、徴兵の関係から家族と離れて暮らさざるを得ない方々がいらっしゃいます。また、息子の徴兵対象年齢が近づくことから、故郷にいる家族に会いに行くことを制限しなくてはならないというお話も伺いました。【ウクライナ】難民の現状|認定NPO法人テラ・ルネッサンス (terra-r.jp)
戦争の長期化によって、物価の高騰をはじめ、失職や収入減、また国外に移住する人が増えることによる学級閉鎖などの問題も後を絶ちません。生きる活力がだんだんと削がれていく中、アルコールに走ってしまう人々も半年前や昨年に比べて増えているのが現状です。
爆撃などの直接的な影響がない地域でも、戦争による影響は甚大であることが生活の節々から垣間見れます。
【氷点下がの気温が続くウクライナ西部】
なかなか先の見えない状況ですが、我々テラ・ルネッサンスは現地の慈善団体と協力し、高齢者をはじめ、夫や息子を徴兵されてしまった方々、家族を亡くされた方々、そして国内避難民に対し、まずはこの厳しい冬を乗り越えるための食料や薪、暖かい服などの支援を継続して行っていきます。
そして、炊き出し拠点の増設や、炊き出し対象者の拡大、生活再建・福祉向上のための総合福祉施設の建設など、長期的にウクライナの人々を支えられる活動に尽力してまいります。
【ウクライナでみた子猫たち】
このような安定した支援を届けることができているのは、いつもあたたかいご支援を下さる皆さまのお力添えのおかげです。
能登半島の大地震や日本各地の事故や災害が続くなか、誠に恐縮ではございますが、引き続き活動を見守りご協力いただけますと幸いです。
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記事執筆/
海外事業部
コーシャ バーリン・黎