【カンボジア】家畜飼育支援制度、2ターン目が始まります!
【2024年3月 活動レポート/カンボジア】
カンボジアでは、JICA草の根技術協力事業(業務委託事業)として、2023年1月よりバッタンバン州サムロート郡にある農業協同組合(以後、農協)の運営強化支援事業を実施しています。
この事業では、農協を通じて、地雷埋設地域に住む地雷被害者や貧困層などの脆弱な世帯への家畜飼育を通した支援を実施します。そして、この「家畜飼育支援制度」を農協が持続的に実施していけるよう、農協の職員に対して、支援実施の方法や農協の運営方法(会計・販売・事務作業など)を指導しています。
事業のメインとなる家畜飼育支援制度は、対象世帯に鶏・アヒル・豚・ヤギの家畜を貸し出して飼育。繁殖したら、貸し出した頭数と同じ頭数+利子分の頭数を農協に返却してもらい、次の世帯に貸し出すというものです。
2023年7月に飼育を開始し、2024年3月現在、かなりの数の家畜が対象世帯から返却されてきました!
(2023年7月の様子はこちら:https://www.terra-r.jp/blog/20231003.html)
対象世帯全40世帯のうち9世帯は返却が完了し、次の世帯に渡す準備ができています。実は渡した家畜を育てる小屋がまだ完成していないので、引き渡しを待ってもらっている状態です。返却が完了する世帯は、今後も専門家の先生に言われた飼育方法を守って、収入源に繋げていってもらいたいです。
今月、村を訪ねる中で、収入源に繋げる際の課題を知ることができました。それは、対象世帯が、家畜を売る際に生産者として弱い立場にあるということです。
ある豚を飼育する世帯で聞いた話によると、対象世帯のところには地元のバイヤーが買い付けにきますが、その際に注意していないと重さが軽くなるように作られた秤で計量されたり、バイヤーが少し秤から浮かせて測ったりされることがあるそうです。
市場価格をよく知らないと、バイヤーと値段の交渉ができないこともあります。同行した農協の組合長さん曰く、組合長さんの家にも、対象世帯と同じ豚のバイヤーがきたが、言われた値段が双方で違ったようでした。
【駐在員江角(左)、農協組合長(中央)によるアヒル飼育世帯の方(右)への聞き取り】
今後農協が、対象世帯から家畜を取りまとめて、共同販売という形をとることができれば、より安定して対象世帯にとってもバイヤーにとってもいい取引ができるようになるかもしれません。せっかく農協を通じて支援を届けられているのだから、そういった仕組みを作りたいと、強く思いました。
今後の目標は、2年目の家畜飼育支援制度の対象世帯の家畜の繁殖がうまくいくよう繁殖や病気対応などを引き続きサポートすることと、家畜の農協としての販売の仕組みを整えることです。後者では、前述の共同販売の仕組みや、屠殺、販路、輸送をどのように行うかなどを、農協と一緒に整えていきたいと思います。
引き続き、農協が地域の脆弱層を持続的にサポートし、サムロート地域の自治に貢献できるよう活動を続けて参ります。
みなさまの応援をしっかり現地に届けていきます。これからも見守っていただけると幸いです。
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記事執筆/
海外事業部 カンボジア事業
津田