【ウガンダ】カラモジャ事業、開始から1年で見えた成果と課題
【2024年5月 活動レポート/ウガンダ】
ウガンダ北東部カラモジャ地域では2022年度、干ばつ・ウクライナ戦争による物価高騰などの様々な要因があいまって、多くの人々が餓死している状況にありました。特に私たちが活動を始めたコティド県では2022年、1,600名以上が飢餓に関連して命を落としています。
このような状況を受けて、テラ・ルネッサンスでは昨年度(2023年)から、灌漑農業を通した自立支援プロジェクトを開始しました。 プロジェクトの目的は、灌漑設備を導入することにより、地域住民が自らの力で安定して農業ができるようになることです。
事業開始から、約一年が経過し、着々と成果が出始めています。半乾燥地域で安定した農業生産は難しいと言われた場所で、地域住民が主体となり、野菜の生産・販売ができたのです。
事業開始当初には「食べるものがないから、食料を支援してほしい」と繰り返し迫ってきた支援対象者の住民たちも、今や食べ物を作って、地域の人々に供給することができるようになっています。
【収穫した野菜の販売 2023年1月撮影】
この事業期間 (1シーズン)の野菜生産・販売によって、支援対象者の住民150世帯が得られた収入の合計額は、なんと約450,000円 になります。事業開始前(ベースライン時)の彼らの収入と比較しても、1日あたりの平均収入が1.5倍以上になっています。
支援対象者の中には、私たちの農業研修のなかで学んだ技術をもとに家庭菜園を始めた人もいます。また自立の重要性を同じグループのメンバーに伝えるリーダー的存在も現れています。このような量的には測りきれないような成果も、少しずつ目に見えるようになってきました。
2024年度は、追加的な農業研修、栄養改善研修、販売ビジネスへの助言など必要なフォローアップを実施していきます。
5月に入った農場では、すでに新しいシーズンの穀物、野菜の作付けが始まっています。
【トウモロコシ畑の様子 作付けから2週間後】
【トウモロコシ畑の様子 作付けから約1ヶ月後】
目にみえる成果もある一方で、なかなか農場に出席できていない世帯や、引き続き衣食住の維持が困難な状況の人々も少なくありません。
今後もカラモジャでは、干ばつ・天候不良といった環境要因や、物価高騰、治安の悪化など種々のリスクや困難が人々の生活に影響を与えることが予想されます。
そんな中でも、一人ひとりの支援対象者と向き合い、個別のニーズに合わせたファローアップを続けていきたいと思います。
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記事執筆
海外事業部 ウガンダ事業
カラモジャ事務所長 田畑勇樹