【啓発】活動報告会 ”忘れられた紛争の地” コンゴ民主共和国で、いま何が起きているのか?
2024年6月13日、福田金属箔粉工業株式会社にて、理事・海外事業部長の小川真吾と、アフリカ事業コーディネーターのトシャ・マギーによる活動報告会を行いました。福田金属箔粉工業は、責任ある鉱物調達方針として紛争鉱物を原材料として使わないことを明示しています。その具体的な取り組みの一環として、特に鉱物資源が豊富なコンゴ民主共和国で活動を行うテラ・ルネッサンスを支援してくださっています。今回、約100名の社員が参加し、小川、トシャより紛争が続くコンゴの現状と、その中で生きる人々の暮らしについて報告を行いました。
忘れられた紛争の地、コンゴ
コンゴでは今も武力衝突が続き人々の命と暮らしが危機に直面しています。世界で最も紛争が長期化している国のひとつであるにも関わらず、国際社会からの関心は薄れ、「忘れられた紛争」と呼ばれています。
活動地の一つの南キブ州では、人口の42%が食料不足に陥り、紛争による直接的な被害だけでなく、マラリアの蔓延や治安の悪化など、二次的な被害も深刻化しています。世界でマラリアによって命を落とす人の10%がコンゴの人々であるという事実は、この問題の深刻さを物語っています。
コンゴ民主共和国での支援活動
テラ・ルネッサンスでは基本的ニーズを満たすための緊急支援や感染症予防の啓発等を通じて、最も脆弱な人々の「命」と「暮らし」を守る「人道支援」と職業訓練、技術習得によりオルタナティブな収入源を確保し、生計を向上する「自立支援」の両軸で支援活動を行っています。紛争鉱物に依存しない環境を作ることで、紛争の予防・解決に寄与することもできます。
人道支援:
紛争や貧困によって厳しい生活を強いられている人々(特に、紛争や貧困の影響を受けやすい子どもや女性)に対し、蚊帳の配布やマラリア治療薬の提供などを行っています。
自立支援:
紛争や貧困から抜け出し、自立した生活を送れるよう、洋裁や養蜂など、手に職をつけるための職業訓練を実施しています。これにより、人々は自尊心を取り戻し、自らの力で命と暮らしを守ることができるようになります。
紛争の背景にある鉱物資源
コンゴの紛争長期化の背景には、豊富な鉱物資源の存在があります。金やスズ、タンタルなど、私たちのスマートフォンやパソコンにも使われているこれらの資源をめぐる争いが、武力衝突を激化させ、紛争の長期化を招いているのです。
小川は、紛争が続く要因として、政府・国軍の統治能力の脆弱性、紛争鉱物の取引や密輸の継続、武装グループの資金源が絶たれていないことなどを挙げました。また、貧困や差別によって脆弱な立場に置かれた人々が、生きるために犯罪に手を染めざるを得ない状況も、紛争の悪循環を助長していると指摘しました。
現地の声を聞く
トシャ・マギーは、コンゴの隣国のブルンジで生まれ育った自身の経験を交えながら、紛争が人々の生活にどのような影響を与えているのかを語りました。紛争によって教育や医療へのアクセスが制限され、子どもたちが夢を諦めざるを得ない状況や、女性たちが暴力の被害に遭いやすい現状を訴えました。日本でもかつて戦争があったように、終戦したら終わり、ではなく、戦争のあとに苦しむ人を救うことが大事であり、「世界中の誰もが平和を享受する権利がある」ということを訴えました。
あらゆるセクターとともに平和を築くために
紛争鉱物問題の解決には、違法な鉱山労働に頼らない生計手段を確立していく現場での支援と同時に、国際的な仕組みづくりのための政策提言や、福田金属箔粉工業のような企業をはじめとした鉱物調達に関わるあらゆるセクターの意識・行動変容といった総合的な取り組みが必要であると考えています。
これからもご支援いただく福田金属箔粉工業とパートナーとして、コンゴ民主共和国での活動に尽力してまいります。
(左からテラ・ルネッサンス 啓発事業部 伊藤あかり、理事・海外事業部長 小川真吾、アフリカ事業コーディネーター トシャ・マギー、福田金属箔粉工業株式会社 代表取締役社長 園田修三さま)
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記事執筆/
啓発事業部 寄付・法人連携担当
伊藤 あかり