【啓発】紛争を終わらせるために~子ども兵の社会復帰とNGOや政府との協力~
2024年7月23日、活動地のウガンダからオンラインにて、海外事業部長/理事 の小川真吾による報告会、「ウガンダの元子ども兵141名が祖国に帰還!紛争終結への希望と課題」を実施しました。
140名の方々にお申込みをいただき、当日は90名近い方々にご参加いただきました。
多くの犠牲を生んだLRA紛争
アフリカ史上最も長く続く紛争の一つとして知られるLRA紛争。
1986年からウガンダ北部で政府軍と反政府勢力「神の抵抗軍(LRA)」との間で続いていた内戦であり、多くの人命と犠牲を伴いました。
内戦中には、「神の抵抗軍」によって3万人以上もの子どもたちが誘拐されました。
2006年の停戦合意以降、ウガンダ北部の治安は回復し、一時期200万人以上いた国内避難民も帰還し、復興と開発が進んでいます。
しかし、その陰で、今だに心身ともに傷を負い、社会復帰から取り残された元子ども兵たちがいます。
元子ども兵は、村々に帰還しても、一般社会で生計を立てるための手段や、就業に必要な技術や知識が乏しく、社会復帰が困難な状況にあります。
また、近隣住民などからの差別や偏見に直面することもあり、経済的、社会的に、どのように元子ども兵を社会統合していくかが大きな課題となっています。
元子ども兵の社会復帰支援事業
テラ・ルネッサンスは2005年から、元子ども兵や脆弱な立場におかれた人々が自らの力で生計を立て自立していくことを目指してウガンダに職業訓練施設をつくり、社会復帰支援事業を行ってきました。
元子ども兵が職業訓練を受け、卒業するまでの3年間、プログラムを実施します。
かつて、目の前で母親を殺された、子ども兵となってこれまで多くの人を殺した経験など、元子ども兵は様々なトラウマを抱えています。この職業訓練プログラムでは最初の1年半は心のケアも行い、精神的にも自立した生活を送れるようにサポートしています。
このような活動に共感した方々のご支援により、これまで19年間で、251名の元子ども兵を支援することができました。
それでも。”棺桶をつくる仕事が減らない”
LRA紛争は現在、終結に向かっていますが、未だ命を落とす人は多くいます。そして隣国のコンゴや中央アフリカへの子どもたちの徴兵も続いています。ウガンダのみならず、他国にも拠点をもつLRAの組織に連れていかれ、戦っているのです。
テラ・ルネッサンスは元子ども兵の社会復帰支援を行い、多くの卒業生を送り出してきました。しかし、元子ども兵たちの社会復帰ができたとしても、新たな子ども兵が生まれれば、紛争をおわらせること、犠牲者を減らすことはできません。
紛争を終わらるために
これ以上、新たな子ども兵、そして紛争で苦しむ人々を生まないために、苦しみの連鎖を止めるためには、徴兵された元子ども兵が帰還し、武力に頼らず、自らの力で生きていくことが必要です。しかし、そこにはいくつかの課題があります。
- 元子ども兵の法的地位を確保すること
- 帰還後の受け入れ先を確保すること
- 帰還後の生活を確保すること
元子ども兵たちは村々に帰っても拘束される恐怖や、兵士として中には村人を殺した自分を受け入れてくれるのか、といった不安を抱えています。
テラ・ルネッサンスは、社会復帰支援と同時にコンゴのNGOとパートナーシップ契約を結び、政府とも協力することで、元子ども兵の受け入れ先や安全な生活を確保することで、帰還を促し、紛争終結に向けた根本的な解決を目指しています。
参加者の声
報告会と懇談会後、参加者からは多くの感想が寄せられました。
- 「現地の様子や活動の様子がリアルに知ることができて、嬉しかった。」
- 「小川さんの熱意に脱帽でした。貴重なお話がたくさん聞けて、とても満足だった。」
- 「国際的に働きたい私にとって、今日がスタートのきっかけとなりました。」
- 「質疑応答では丁寧に答えてくださったことがとても嬉しく感じました。」
今回の講演会にご参加いただいた皆さま、そして遠くから活動を見守ってくださる皆さま、いつもあたたかいご支援をありがとうございます。
現在テラ・ルネッサンスでは夏季募金キャンペーンを実施しております。
皆さまのご寄付は、今回のイベントでご紹介させていただいた元子ども兵の社会復帰と帰還支援をはじめ、紛争や貧困で苦しむ人々のために大切に使わせていただきます。
テラ・ルネッサンスは、これからも「一人ひとりに未来をつくる力がある」という活動理念のもと、皆さまと共に、平和な未来を築いていけるよう、努力してまいります。
引き続き、テラ・ルネッサンスへのご理解とご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
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記事執筆/
啓発事業部 大岡