【キャンペーンブログ】「紛争終結へのビジョンと残された課題」 / 紛争を、終わらせる。vol.6
前回までのブログで紹介してきた通り、テラ・ルネッサンスの元子ども兵支援は、ウガンダに戻ってきた元子ども兵の社会復帰支援のみならず、2023年からはコンゴ民主共和国(以下、コンゴ)や中央アフリカ共和国(以下、中央アフリカ)など隣国に残されたLRAの元子ども兵の動員解除・帰還も始めました。ウガンダ北部紛争の終結に向けたより包括的な支援に移行しています。
2005年からウガンダ・コンゴで元子ども兵の社会復帰支援に取り組む小川真吾は、今後のプロジェクトを【アフリカ中東部地域におけるLRAの動員解除及び元子ども兵の帰還・社会復帰支援事業】として打ち出し、ウガンダ・コンゴ両国でLRA解体(動員解除
今回のブログでは、従来の「元子ども兵社会復帰支援」と今回の「LRA動員解除及び元子ども兵帰還・社会復帰支援」の違いを明らかにしつつ、それぞれの活動が「紛争を終わらせる」という目標にどのように貢献するか、その上で残されている課題について述べていきます。
〇従来の支援との違い
【動員解除】
1990年代に入りウガンダ北部で活動を始めたLRAは、2006年にウガンダ政府と停戦合意を結びましたが、その後コンゴや中央アフリカに拠点を移し活動を続けています。
そのため、ウガンダだけでなく、コンゴや中央アフリカ出身の元子ども兵も対象に社会復帰支援をする必要が出てきました。2023年にコンゴのNGO とパートナーシップを結び、コンゴ・中央アフリカに残るLRA兵士、元子ども兵の帰還を呼びかけています。具体的にはテラ・ルネッサンスの支援を受けた元子ども兵の音声・動画メッセージを隣国に残るかつての仲間たちに届けています。前回のブログで取り上げたようにテラ・ルネッサンスの施設で訓練を受けている元子ども兵が直接中央アフリカに赴き、仲間たちに帰還を呼びかけた事例もあります。
【帰還】
コンゴや中央アフリカに残るLRA兵士がウガンダに帰還した際に、社会復帰ができるような受け皿を作ることもとても重要です。今回の12期生 の場合は、関係者の協力も得ながら帰還する人々の出身地域を訪問し、彼ら彼女らが家族と再会できるように追跡調査・受け入れ準備を主導しています。
【社会復帰】
今後の社会復帰支援は、従来と同じように職業訓練・基礎教育・心理社会支援・心身のケアなどの活動を包括的に実施しています。しかし、支援対象となる元子ども兵がウガンダ人のみならず、コンゴ人・中央アフリカ人と多様なため、テラ・ルネッサンの職業訓練施設がある地域で話されているアチョリ語の補習を取り入れるなど、カリキュラムはより今の状況に応じて変えています。
さらに、従来は1年半の社会復帰支援ののち、ビジネス開業という流れですが、今回の対象者の中には、コンゴに帰国したいと望む元子ども兵もいるため、開業・収入向上支援については現在も不確定要素があります。
【弊会の施設で社会復帰を果たした元子ども兵と、コンゴのNNGOと連携しながら、反政府軍に残る元子ども兵の帰還を促進する取り組みについての新聞記事(「New Vision」2023年9月23日付)】
〇恩赦の状況
ウガンダ政府は2000年に恩赦法(1)を施行し、指導者5名を除く元LRAメンバーに対して恩赦を与えています。これまでに帰還した元子ども兵に対しては恩赦カードが与えられてきましたが、2023年9月に帰還した141名の中のウガンダ人にはまだ恩赦が与えられておらず、現在も政府軍の施設で軍の監視のもと生活しています。
今回のウガンダ人帰還者への恩赦カードの付与が一時は決まりつつあったものの、直前になって大臣の都合(理由は不明)により、いまだ12期生は恩赦カードがない(法的地位が保証されていない)状態にあります。12既生に恩赦が与えられると、現在もコンゴ・中央アフリカに残るLRA兵士の帰還を促すことに繋がるため、非常に重要なポイントです。
(1)恩赦法・・・ウガンダ政府は2000年に恩赦法を施行し、指導者5名を除く元LRAメンバーに対して恩赦を与えることを決定しました。恩赦が付与されたものは、反政府活動や武装戦闘の際に犯した罪を訴追・処罰されません。
〇紛争終結までの流れ
ウガンダ政府は2000年に恩赦法(1)を施行し、指導者5名を除く元LRAメンバーに対して恩赦を与えています。これまでに帰還した元子ども兵に対しては恩赦カードが与えられてきましたが、2023年9月に帰還した141名の中のウガンダ人にはまだ恩赦が与えられておらず、現在も政府軍の施設で軍の監視のもと生活しています。
今回のウガンダ人帰還者への恩赦カードの付与が一時は決まりつつあったものの、直前になって大臣の都合(理由は不明)により、いまだ12期生は恩赦カードがない(法的地位が保証されていない)状態にあります。12既生に恩赦が与えられると、現在もコンゴ・中央アフリカに残るLRA兵士の帰還を促すことに繋がるため、非常に重要なポイントです。
(1)恩赦法・・・ウガンダ政府は2000年に恩赦法を施行し、指導者5名を除く元LRAメンバーに対して恩赦を与えることを決定しました。恩赦が付与されたものは、反政府活動や武装戦闘の際に犯した罪を訴追・処罰されません。
〇残された課題:コンゴ・中央アフリカ側
今回帰還した元子ども兵のなかには、コンゴ・中央アフリカ人の元少女兵 (彼らはウガンダ人元少年兵と戦場で強制結婚した妻、戦場で産んだ子どもも一緒に帰還) もいます。職業訓練終了後にウガンダではなく出身国に帰国したいと望む者がいた場合にも、ひとり一人の意思を尊重しそれぞれの国に帰ってからも自立できるような仕組みが必要です。
そのため残されたLRAの解体(動員解除)後に、コンゴ (・中央アフリカ) 側で社会復帰を支援できる体制を整えておくことが重要です。現在は、動員解除・帰還状況や社会復帰支援のための調査を進めています。
近年LRAは、規模の縮小とともに弱体化が進み、ほとんどの兵士は帰還を望んでいます。しかし、LRAの利用価値が出てくれば、再度規模が拡大する恐れもあり、弱体化している今LRAを解体し紛争を終結させることが重要です。
今後もウガンダのみならず、コンゴ北東部・中央アフリカでの関係者とも協力しながら、それぞれの国で動員解除・帰還・社会復帰を進められるよう活動していきます。
〇終わらない紛争に終止符を。そのためにーーー
テラ・ルネッサンスでは、2024年11月13日(水)~2025年1月15日(水)まで、冬季募金キャンペーン「紛争を終わらせる。」を実施しています。
皆さまからお寄せいただいたご寄付は、今、世界で起こっている紛争を一つでも終わらせるために、そして、紛争の被害を受けた方々の自立支援をはじめ、テラ・ルネッサンスのすべての事業で、大切に使わせていただきます。
どうか、紛争を終わらせる活動に、力を貸してください。
▼冬季募金キャンペーン2024▼
[実施期間]11/13 - 1/15
[目標金額]30,000,000円
詳細はこちら:https://www.terra-r.jp/tokibokin2024.html
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記事執筆 /
海外事業部 ウガンダ事業
カラモジャ事務所長 田畑勇樹
啓発事業部
インターン 村添心愛