【新職員が見た!アジア訪問記】ウクライナ・ハンガリー事業担当、田嶋望です。
こんにちは。無事ハンガリー事務所に赴任しました田嶋です。
ブダペストは冬本番でとても寒く、私が仕事を終える午後5時頃に外は真っ暗になってしまいます。
ただしクリスマスシーズンなので、夜景がキレイなのは目の保養になりますね。
(ブダペストの夜の景色)
さて、ブログ後編の今回は、ハンガリー赴任前に訪問したタイ・カンボジアでの出来事を皆さんにお伝えしたいと思います。
私は日本を11/24に出国した後、11/25, 26はタイ、11/27~29はカンボジアを訪問しました。
まずタイでは、ブログ前編でも少し述べましたが、テラ・ルネッサンスがグローバル人材育成事業で提携している東明館中学校のタイ研修旅行に同行させていただきました。私は今でこそ国際協力の仕事をしておりますが、中・高と修学旅行は国内で、20歳になるまで海外に行ったことがなかったので、15歳で異国を肌に感じる機会を提供してもらえる東明館の中学生をちょっぴりうらやましく思いながら、集団について行きました。
1日目(25日)は、バンコクの私立学校であるルン・アルン学園を訪問しました。ルン・アルン学園は日本でいう小・中・高12年間の一貫教育を行っており、広大な学校敷地を活かしたユニークな教育で、生徒が伸び伸びと成長していくような印象を受けました。今回はInternational Course(英語で教育を行う科)の先生・生徒が私たちを迎え入れてくれました。
まずはルン・アルン学園が取り組んでいるゴミの分別・リサイクル事業について、先生からレクチャーを受けました。日本のみなさんも大まかには燃えるゴミ、プラスチック、雑紙、カン・ビンと分別をしていると思いますが、ルン・アルン学園では紙やプラスチックについても細かく分類し、合計30種類近くのカテゴリに分けてリサイクルに取り組んでいます。学園のリサイクルセンターは、近隣住民がゴミを持ち寄る場になっており、単なる環境教育の場のみならず、持続可能な地域社会を作るためのマイルストーンとして機能していると感じました。
レクチャーの後は、ルン・アルン学園の先生・生徒の皆さんから操り人形、演舞、プチ陶芸体験、アクセサリー作り、影絵芝居といったタイの文化の紹介プログラムがあり、東明館中学校側も、日本から持ち寄った折り紙、けん玉、おはじきといった伝統的な遊びをルン・アルン学園の皆さんに伝授しました。特に東明館の男の子たちが、アクセサリー作りで作ったネックレスを翌日も首に下げていたのを、私は微笑ましく思って見ていました。
(プチ陶芸体験で東明館の生徒たちが花で作成した曼荼羅)
2日目(26日)は、まず午前に公益社団法人シャンティ国際ボランティア会の現地法人であるシーカー・アジア財団を訪問し、スタッフの方のご案内で、同財団が支援しているクロントイ・スラムを見学しました。
私は7年前、大学院生だった時にバンコクの別のスラムを見学したことがあり、スラム独特の薄暗さや匂い、人や動物の密集具合に一種の懐かしさを覚えつつ歩いていましたが、東明館の中学生は、突如として姿を現す犬猫やニワトリにややビックリしている様子でした。そのような強烈な光景も、中学生たちの人生の一場面として記憶に残ってくれればいいなと思います。
(クロントイ・スラムの様子)
午後はマヒドン大学を訪問しました。理系分野に強いとされるバンコクの大学ですが、今回は理学部の先生・学生の協力の元、東明館の生徒へ向けて、水に含まれている化学物質を試薬を用いて当てるワークショップを実施していただきました。実験手順の説明は先生が英語で行い、私が日本語に訳しながら、学生アシスタントが各班ごとに手を動かして中学生にやり方を教えるという方法で進めていきましたが、文系(法学部)出身の私、理科実験は約15年ぶりで、化学物質名を英語で理解するのに苦労しました・・・。少し手間取ったところもありましたが、なんとか全部の班で無事実験が完了できたので良かったです。特に理系分野に進みたいと考えている中学生は、将来マヒドン大学に留学してみるのも一手かもしれませんね。
27日に東明館の皆様と別れカンボジアへ移動した後、28日からは江角理事の案内で、テラ・ルネッサンスのカンボジア事業地を訪問させていただきました。今回はたまたま支援者の皆様や、カンボジアで事業を行う別の日本のNPO法人のスタッフの方と見学日程が重なり、予想外の大所帯となりましたが、食事の時などに色々とお話ができて楽しかったです。
カンボジアは2001年のテラ・ルネッサンス創設以来の事業地であり、現在はカムリエン郡において村落開発支援、サムロート郡においてJICA草の根技術協力事業を活用した農協支援を行っています。前者は村人のレジリエンス向上に直接寄与するものである一方、後者は農民がサステナブルな生計を営めるよう、彼らが加盟する農協の運営体制を強化するという事業性質の違いがあります。しかし共通することとして、農民が家畜の借り受けを中心として生計向上手段を確立し、換金作物の価格変動に左右されないことを目指しています。私はかつて、農業開発のコンサルティング企業に勤めていたことがあるのですが、そこでよくフードバリューチェーン(FVC)という言葉を耳にしたことを、今回のカンボジア訪問で思い出しました。簡単に言えば「何を作るか」「どうやって作るか」「どういうふうに加工するか」「どこで売るか」といったポイントを工夫することで、農民が生産する作物・家畜の付加価値を連鎖的に高めることができるというものです。テラ・ルネッサンスのカンボジア事業でFVCが確立されているかと言われれば、もちろん課題もあると思いますが、それについては、将来自分が課題解決に少しでも貢献してみたいと密かに思っています。
(サムロート農協から農家に貸し出されているブタ)
このようにタイ・カンボジアで濃い1週間を過ごし、私はハンガリーに辿り着きました。
冒頭で述べたように冬本番ということもあり、ハンガリー・ウクライナ事業でも厳しい局面が待ち受けているかもしれません。
そんな時、私は尊敬する岡本太郎の言葉を思い出します。最後にそれを引用して、自己紹介ブログを終わろうと思います。
ぼくはいつでも最低の悪条件に自分をつき落とす。そうすると逆にモリモリッとふるいたつ。自分が精神的にマイナスの面をしょい込むときこそ、自他に挑むんだ。ダメだ、と思ったら、じゃあやってやろう、というのがぼくの主義。
(岡本太郎『自分の中に毒を持て』青春出版社、p.57)
〇終わらない紛争に終止符を。そのためにーーー
テラ・ルネッサンスでは、2024年11月13日(水)~2025年1月15日(水)まで、冬季募金キャンペーン「紛争を終わらせる。」を実施しています。
皆さまからお寄せいただいたご寄付は、今、世界で起こっている紛争を一つでも終わらせるために、そして、紛争の被害を受けた方々の自立支援をはじめ、テラ・ルネッサンスのすべての事業で、大切に使わせていただきます。
どうか、紛争を終わらせる活動に、力を貸してください。
▼冬季募金キャンペーン2024▼
[実施期間]11/13 - 1/15
[目標金額]30,000,000円
詳細はこちら:https://www.terra-r.jp/tokibokin2024.html
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記事執筆 /
海外事業部 ハンガリー事務所
プロジェクトオフィサー 田嶋望