【カンボジア】カンボジアのバッタンバンで、農業訓練センターの開設準備

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【カンボジア】カンボジアのバッタンバンで、農業訓練センターの開設準備

【2025年1月 活動レポート/カンボジア】

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カンボジアでは、2025年から農業訓練センターをバッタンバン市内に開設しようと準備に奔走しています。

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写真: バッタンバン市内にある元孤児院の施設を活用した開設準備中の農業訓練センター

私たちは、これまで地雷埋設地域で生活する地雷被害者を含めた脆弱世帯の主に農業を通じた生計向上支援を実施してきました。

その中で、分かったことは、農村で生活をする脆弱世帯のほとんどが農業に従事しており、適切な農業の技術や知識があれば、農村にある資源を活用して、十分に生活をしていくことができるということです。

一方で、私たち職員が、これまで遠く離れた村へ移動して、訓練を実施してきたやり方も、支援世帯が多くなるにつれて、限界に近づいていました。

数年前から、家畜飼育を支援する制度で、家畜を貸し出した世帯は、250世帯を超え、私たちのスタッフだけでは、家畜が病気になったり、販売する時の細やかなサポートが難しくなってきました。

そこで、バッタンバン州サムロート郡では、既存の農協の若手職員を育成することで、農協から脆弱世帯への支援をする体制を構築する支援をJICA草の根パートナー事業として、2023年1月から実施しています。

また、これまで支援をしてきたカムリエン郡ロカブッス村でも、コロナ禍にオンラインで大学の授業を村で受けていた大学生を中心に、訓練を実施してきました。

ただ、1つの村やコミュニティ、農協で訓練を実施できる人数は、ごく僅かで、対象地域の移動時間も、道路の状況が改善されたとはいえ、大きなネックとなっていました。

そして、農業訓練センターの構想の基になった出来事が、コロナ禍の前にありました。それは、ラオスの知り合いの紹介で、ラオスのビザの更新手続きもあり、タイの北部のウドンタニ県にあったタブタワン・ラーニング・センターを訪問した時です。

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【写真:タブタワン・ラーニング・センターの養豚小屋を視察するカンボジアのスタッフたち

正直なところ、それほど何かを期待して行ったわけではなく、ビザの更新のついでにという気持ちだったのですが、そのセンターを訪問して驚きました。タイでも、カンボジアと同様に経済発展が進むにつれて、農村の伝統的な生活も変化をし、豊富にあった森が切られ、現金収入を得るための大規模な換金作物の栽培が進んでいきました。

この地域では、砂糖を作るためのサトウキビが大規模に栽培されるようになったそうです。しかし、その栽培で農家の生活が良くなったかというと、大きな疑問があり、収穫ができても買い叩かれ、農薬や化学肥料の使用で土地が汚染されたり、土壌が痩せていく状況が出てきました。農家は、単一の作物しか栽培しないために、それまでの自然資源を活用した伝統的な生活もできなくなっていました。

そこに疑問を持ったサンヤー先生を初めとしたタイの人たちが、サンヤー先生の奥さんが持っていた土地を活用して、自給をベースにした包括的な農業と生活スキルを訓練するセンターを開設していました。

タイの農村やラオスの農村からも訓練生がセンターにきて、滞在し、様々なスキルを理論だけでなく、実践することで学んでいました。

私も数日間滞在させてもらった中で、魚を投網で採る方法をム先生に教えてもらいました。しかし、もちろん投網をするのは初めてで、残念ながらその日は魚を一匹も捕まえることができませんでした。それは、その日の夕食にみんなが食べるものがないことを意味します。

そこで、先生に言われた言葉を今でもはっきり覚えています。

「魚が採れなかったら、鶏小屋に行きなさい。そこに行けば、鶏が卵を産んでいるかもしれないから、それで料理ができるでしょう。もし卵がなかったら、菜園に行きなさい。そこには、様々な野菜が植えてあるので、収穫してくれば、食べるものがあるでしょう。でも絶対にやらないで欲しいのは、マーケットに行って何かを買ってくること。それだけは、やらないでください。」

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写真:
  • タブタワン・ラーニング・センターのドラム缶を使った炭焼き技術と木酢液を採取する訓練をするム先生。

このセンターでは、実際のところ稲作、豚、鶏、アヒル、ヤギ、水牛などの家畜飼育、様々な野菜栽培、魚の養殖、竹の栽培、炭焼き、石鹸作り、有機肥料作り、森が残されているので、雨季には自然ときのこが生えるなど、食料とエネルギーの自給がされています。電気や水道は来ていて、使っていますが、万が一止まったとしても、生きていくことができます。同時に炭や堆肥などを販売して、生徒たちは自分たちでお金を管理し、2年のプログラムが修了するときに、みんなで分配して、自分の家で生活をしていく資金にしているといいます。

日々のカリキュラムも、先生たちが全部考えるのではなく、生徒たちが自分たちで、その日何をするのか決め、先生たちに報告するなど、自律的に運営されていたのも驚きでした。

タブタワン・ラーニング・センターをモデルに、カンボジアのバッタンバンで、農業訓練センターの開設に向けて、訓練生たちを選定しているところです。

このセンターでは、地雷が撤去された後の土地で、村人たちが持続的に生活できる平和な社会を創る人財を育成したいと思います。



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 記事執筆

海外事業部 カンボジア事業

江角 泰

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