【カンボジア】順調に進んだバイトーン農協の総会から感じる変化。
【2025年3月 活動レポート/カンボジア】
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2月28日に、JICA草の根パートナー事業としてテラ・ルネッサンスが支援をするバッタンバン州サムロート郡にあるバイトーン農協の総会が開催されました。年1回開催される総会は、農協の組合員、幹部の人たちにとっては、一大イベントです。
私は過去2年の総会に出席して、その準備から開催までに幹部の皆さんが、大変な時間と労力を使っているのに驚かされました。昨年までは、前日遅くまで準備をして、本番に望むのを見ていました。
ところが、今年は若い職員への会計の指導をパソコンで実施して、月次会議での活動報告もしてきたかいがあり、2025年1月には、ある程度の総会資料も完成していましたので、昨年と比べると余裕のある中で総会が開催できました。
総会に参加しながら、その進歩をとても嬉しく感じていました。本番の総会自体も、来賓が予定時刻よりも少し遅れてきたために、開会が遅れた以外は、とても順調に進んで行きました。

【農協幹部の選挙のために前に並ぶ立候補者と投票方法を説明する来賓の役人】
今年は、このままスムーズに終わるのかと思っていたら、そこから思い掛けない事が起こりました。それは、幹部の人たちの改選をする選挙が実施されたことです。まずは幹部への立候補者をその場で募ります。旧幹部の人たちは、引き続き立候補する中、そのまま選挙をしたのでは意味がないため、新しい候補者を少なくとも2名は追加することになりました。そこに立候補したのは、これまで私たちが事業の中で、訓練をしてきた農協の若手職員2名。
それぞれの立候補者が前に立ち、自分の番号を持って並びます。その番号の中から組合員たちは、その場で紙に番号を記入し、前に置いてある投票箱に票を入れる仕組みです。
約100名ほどの組合員が参加した総会で、一人ひとりが投票箱に票を入れ終わると、すぐにその組合員たちが見ている目の前で、来賓で来ていた農林水産局の職員や他のNGOの職員によって開票されていきます。

【農協幹部の改選の開票作業の様子】
これは、時間がかかりますが、どこかの国の選挙よりもよっぽど不正のしようがない公正な選挙だと思ってみていました。選挙の結果、幹部のメンバーは変わりませんでしたが、若手職員2名にも組合員から一定の票が入っていたことは、まだ認知されていない割には驚きでした。
そして、組合長は、最も多くの票を集めた3名の中から選ばれるのが妥当だろうということになり、女性のロアットさんが新しい組合長になることが決まりました。
ロアットさんは、これまで事務局長として農協の重責を担ってきましたが、この度、組合長に選ばれるのは人望や能力からすると、妥当なことのように思われました。しかし、本人はあまり乗り気ではない様子でした。一定の期間で、組合長が交代していくのがいいという農林水産局や他のNGOの人たちの意見もあり、組合長としてやっていくことになりそうです。

【総会に参加した農協の組合員が決議をとる様子】
今回の総会の中で、ロアットさんは、私たちの事業として農協で製造し、商品化をした作物栽培用の有機発酵液や家畜用の薬草発酵液、家畜餌、コンポストなどを、まだ農協の商品を知らない組合員に向けて、紹介してくれたのが印象的でした。農協の商品を組合員が買ってくれれば、それが農協の活動資金となることも話してくれていて、まだ私たちの事業にどこか懐疑的な様子だった1年前の状況からは、大きく変わったことを実感しました。
JICAの事業も残り9ヶ月ほどとなり、それまでに持続的な運営ができる体制の構築を目指します。まだ、財源の確保という面では、ハードルが高いですが、農協の幹部と若手の職員、そして組合員の皆さんと一緒になって目標を達成していきたいと思います。
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記事執筆
海外事業部 カンボジア事業
江角泰