【公開書簡】イエメン紛争当事者への武器禁輸措置の徹底と独立した人権調査の実施を求める
2016年3月7日
外務大臣
岸田文雄 殿
公益社団法人 アムネスティ・インターナショナル日本
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イエメン紛争当事者への武器禁輸措置の徹底と独立した人権調査の実施を求める
私たちアムネスティ・インターナショナル日本とテラ・ルネッサンスは、サウジアラビアによるイエメンへの軍事介入により多くの民間人に犠牲が出ていることを深く憂慮しています。
サウジアラビア主導の連合軍による空爆と戦闘が、民間人が住む住宅地域で無差別かつ大規模に行われ、この1年足らずで約3万5000人が死亡し、250万人以上が家を失ったと報告されています。連合軍の行為は、国際人道法および人権法の違反として強く非難されるべきです。
一方でフーシ派武装グループも人権侵害を行っており、今年2月のアムネスティによる調査は、フーシ派武装勢力らが民間人への支援物資のルートを断ち、イエメン南部の都市ダイスの住民が窮地に陥っていると指摘しています。紛争の全当事者は、支配地域の住民に人道援助を保障する義務があります。
国際キャンペーン「コントロール・アームズ」は2月に公表したレポートで、2015年に、ドローン、爆弾、魚雷、ロケット兵器、ミサイルなど総額250億ドル以上にのぼるサウジアラビアへの武器輸出を行ってきた国々を挙げました。2016年2月、国連事務総長もサウジアラビアへの武器を輸出すべきではないと主張し、同25日には欧州議会が同国への武器移転の禁止を求める決議を採択しています。
こうした状況に鑑み、私たちは日本政府に以下を要請いたします。
安全保障理事会の理事国として:
- イエメン紛争のいかなる当事者にも、武器、弾薬、装備、技術を直接または間接的に提供することや、そのような武器の提供を後方および資金的に支援することを禁止する安保理決議2216に基づき、これらの武器が国際法の重大な侵害に使用される著しい危険が残っている限り武器禁輸措置を延長するよう、日本がイニシアチブをとること。
- 2014年9月以降の敵対行為における国際人権法および人道法の重大な違反行為の疑いについて、その加害者を公正な裁判にかけ被害者に十分な賠償を提供することを視野に入れ、独立した調査メカニズムを設置するよう、日本がイニシアチブをとること。
武器貿易条約(ATT)締約国として:
- アムネスティや「コントロール・アームズ」を始め多くのNGOが要請したにも関わらず、去る2月29日の武器貿易条約(ATT)締約国臨時会合で、イエメンにおける深刻な状況とサウジアラビアへの武器移転について議論されなかったことは、極めて遺憾です。したがって、2016年8月に予定されている締約国会合において、ATT締約国からサウジアラビアへの武器移転がATT違反である可能性について、真剣な議論が行われるよう、日本政府がイニシアチブをとること。
以上
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