第2回武器貿易条約(ATT)締約国会議、閉幕 ~締約国による条約違反の武器移転問題、議論されず~
報道関係者各位
2014年に発効した武器貿易条約(ATT)について、今週22日(月)からジュネーブで開催されていた第2回締約国会議は、先ほど閉幕しました。今回の締約国会議に向けては、当のATT締約国によって条約が「骨抜き」にされることが危惧されていました。そして、以下に挙げるように、懸念されていたとおりのことが起こりました。
◆まず、サウジアラビアがイエメンでの武力紛争に軍事介入を開始した2015年3月以降に、イギリス、フランス、ドイツをはじめとするATT締約国は、サウジアラビアに大量の武器を輸出しました。2016年2月には、国連事務総長もサウジアラビアによる空爆を非難し、同国に武器を輸出すべきではないと訴えました。昨日8月25日(木)には、ジュネーブに拠点を置く国連人権高等弁務官が、サウジアラビアによる空爆が始まった2015年3月から今月までに、イエメンでは少なくとも300万人が家を追われ10000人以上が死傷していることを指摘しました。
NGOは、今回の締約国会合に向けて、条約違反の可能性がある事例について議論するよう訴えました。しかし、イギリスは8月23日(火)の会議場で、「各締約国の具体的な武器移転について批判する行為は、これから締約国になる可能性がある国が怖がってしまうからやめるべきだ」との声明を述べました。結局、この問題については、会議場でほぼ議論されませんでした。
◆次に、第2回締約国会議では、締約国が自国の武器輸出入に関して提出する報告書の書式について曖昧に合意されましたが、以下のように非常に不透明な書式です。
この書式によれば、各国は自国の武器輸出入に関して大雑把に報告すればよく、報告書を公開するかどうかは各国の自由で、なおかつ「国家安全保障あるいは商業的な視点から見てセンシティブだ」と各国が判断した情報は提出しなくてもよく、しかも、「センシティブだ」と見做して報告書に載せなかった情報があるかどうかを明らかにしなくても構わないことになっています。
◆9月2日(金)・締約国会議報告会を開催◆
今回の会議では、この他にも様々な争点がありました。会議で具体的に・詳細に何が決まったのか?何が決まらなかったのか?この会議はATTの「実効性」をいかに左右するのか?9月2日(金)に、東京・拓殖大学文京キャンパスにて、報告会「武器貿易の透明性は高まるのか?: ATT第2回締約国会議」を開催いたします。残り席数が少ないですので、参加されるかたはお早めにご登録ください。
【日時】 2016年9月2日(金) 19:00~21:00(18:45開場)
【場所】 拓殖大学文京キャンパス F館301教室
【登壇者】 佐藤丙午(拓殖大学海外事情研究所)、榎本珠良(明治大学国際武器移転史研究所/テラ・ルネッサンス)、杉原浩司(武器輸出反対ネットワーク:NAJAT)
【参加方法】 事前登録制。登録方法などの詳細は以下リンクをご覧ください
http://aacs.blog44.fc2.com/blog-entry-153.html
◆お問い合わせ先:以下アドレスまで、メールにてご連絡ください◆
認定NPO法人テラ・ルネッサンス(担当:榎本): enomoto@@terra-r.jp (@を1つにして送信ください)
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