武器貿易条約・第5回締約国会議に「南」のNGOの声を届けます〜テラ・ルネッサンス、独自のスポンサーシップ・プログラムを実施〜
2019年8月8日
プレスリリース
報道関係者各位
武器貿易条約・第5回締約国会議に「南」のNGOの声を届けます
〜テラ・ルネッサンス、独自のスポンサーシップ・プログラムを実施
テラ・ルネッサンスが支援を行うカンボジアやウガンダなどの国では、通常兵器が不正に使用されてきました。1990年代以降、通常兵器の貿易を規制する必要性が叫ばれ、長い交渉を経て2014年に武器貿易条約(ATT)が発効し、今月26日から30日までジュネーブで第5回締約国会議(CSP5)が開催されます。そこで、テラ・ルネッサンスは、会議の場で十分に発言の機会を得ることができない「南」のNGO・研究者を支援することにしました。
ATTの締約国会議(CSP)プロセスには、途上国の政府関係者や NGO、研究者に渡航費を提供する公式のスポンサーシップ・プログラムがありました。アジア・アフリカの NGO・研究者は、この制度の拡充と選考過程の公平・透明化を求めて、2018 年 10 月に日本などの各国政府とATT 事務局に共同書簡を送りました。
ところが、ATT 事務局からは、「今後、公式スポンサーシップ・プログラムの対象からNGO を除外する」という回答が寄せられました。このままでは、CSPプロセスから「南」のNGOの声が排除されかねません。テラ・ルネッサンスは、こうした決定の取り消しを外務省通常兵器室に求めてきました。
しかしながら、事態は改善されず、CSP5に向けても「南」のNGO・研究者は公式の支援を受けることができていません。欧米に拠点を置く国際キャンペーンが「南」のNGO・研究者に渡航費を提供することもあります。しかし、その場合には、「南」のNGO・研究者には国際キャンペーンの主張を繰り返すことが求められるため、彼らが自分たちの独自の主張をすることはできません。
これは、専門性に基づく自分の見解を持つ「南」のアクターを会議プロセスから排除することを意味し、ATTの普遍化や実施にも悪影響を与えかねません。
そこで、テラ・ルネッサンスは、CSP5に向けて独自に「Terra Renaissance ATT CSP5 Sponsorship Program」を設け、インドと南アフリカの専門性あるNGO・研究者2名に渡航費を提供することにしました。
これまでのCSPプロセスの議論は、資金の潤沢な欧米のNGO・研究者に独占される傾向があります。私たちは、通常兵器による被害が大きい現場でATTの普遍化と実施に取り組んでいる「南」のNGO・研究者が、自身の声をCSP5に届けることを支援します。
◆「Terra Renaissance ATT CSP5 Sponsorship Program 」による派遣者◆
●Mr. Ravinder Pal Singh (ラビンダー・パル・シン氏)
Senior Advisor of the Control Arms Foundation of India
ジャワハルラール・ネルー大学にて国際関係学修士号取得。国防研究分析研究所(ニューデリー)元シニアフェロー。1990年代には、ストックホルム平和研究所(SIPRI)にて中国、インド、イスラエル、日本、韓国、タイの安全保障分野における意思決定プロセスの説明責任に関する研究を主導。国連軍備登録制度についても深く関わってきた。旧ワルシャワ条約機構加盟国や旧ユーゴスラビアにおける治安部門改革に関しても取り組んだ後、現在は、治安部門改革、武器移転における透明性と報告義務(説明責任)、女性の安全とエンパワーメント、防衛予算の問題などを主な研究分野としている。
●Mr. Joseph Dube (ジョセフ・デュベ氏)
Director of Disarmament and Arms Control
南アフリカを拠点に活動する小型武器問題における市民活動家。これまで武装解除や武力による暴力の抑止政策の分野におけるアフリカ市民社会の発展に主導的な役割を果たしてきた。アムネスティ・インターナショナルやGun Free South Africa等のNGOで武器管理および人権に関する問題に取り組んだ後、2005年から2012年には、International Action Network on Small Arms(IANSA:国際小型武器行動ネットワーク)にて、アフリカコーディネーターを務める。これまで国連小型武器行動計画に関する多くの会議に参加。近年は、南アフリカにて武装解除と武器管理に関する自らの団体を立ち上げるとともに、核軍縮の分野にも精力的に取り組んでいる。
◆テラ・ルネッサンスとアジア・アフリカのNGOが日本政府に宛てた共同書簡(英文)は、以下URLをご覧ください◆
河野太郎外務大臣宛
https://www.terra-r.jp/news/press-release/attjointletterjapanaminister.html
高見澤將林軍縮大使宛
https://www.terra-r.jp/news/press-release/attjointletterjapanambassador.html
※ATT事務局および他国宛ての書簡は、それぞれ別途送付されています
◆スポンサーシップ・プログラムの問題は、既に複数の日本メディアにより報道されています。これまでの報道は、以下URLでご覧いただけます◆
https://www.terra-r.jp/user/media/pdf/news/20180908komei.pdf
https://www.terra-r.jp/user/media/pdf/news/20180926kyoto.pdf
◆スポンサーシップ・プログラムの問題について、当会ポリシー・アドバイザーの榎本が執筆した解説が、『国際武器移転史』第7号に掲載されています。◆
http://www.kisc.meiji.ac.jp/~transfer/paper/pdf/07/04_Enomoto.pdf
■ この件に関するお問い合わせ(取材)について
〇 認定NPO法人テラ・ルネッサンス
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