【活動レポート:コンゴ】完成したコミュニティ施設での加工・製造訓練がスタート!
コンゴ民主共和国・中央カサイ州ディンべレンゲ地区では、2021年9月から、UNDPとのパートナー事業「洪水とコミュニティ間紛争の被害を受けたコミュニティに対する強靱な回復力および安定性の強化を通じた早期回復の支援プロジェクト」を実施しています。
市場、診療所に引き続き、地元の方々によるcash for workを通じた、コミュニティ施設の建設が完了しました!この施設は、アブラヤシからパーム油を抽出する技術訓練や石鹸作りの活動をおこなったり、コミュニティの人々が集まってお話ししたりする場になります。
*cash for work:災害や紛争の影響を受ける人々を対象に、コミュニティに貢献するような仕事 (work) を提供し、その対価として現金 (cash) を給付する形の支援
手前の建物が倉庫、ミーティング室、石鹸生産を行う施設になります。奥の青いペイントの建物がパーム油の抽出を行う場所になります。荒地に等しかった場所(下の写真)を整備するところから、地元の人々が作業員として関わり、建設が完了しました。建設に使うレンガも、この土地の土を使った手作りです。
■活動①:アブラヤシからパーム油を抽出する加工技術訓練
コミュニティ施設への機材の搬入・設置も終わり、現在すでに地元の方々が加工技術の習得に励んでいます!
この地域の人間開発指標(HDI)は0.392と、アフリカの最貧国の水準よりも、さらに貧しい地域です。そこで、このプロジェクトは、紛争の影響を受けた最も脆弱な人々の、基本的ニーズを満たすための生計向上を目的としています。
コミュニティ施設での一つ目の活動が、アブラヤシからパーム油を抽出する加工技術の訓練です。地元に自生しているアブラヤシ、または小規模農家が栽培しているアブラヤシの種子部分から、パーム油(パームカーネイルオイル)を抽出するための技術指導と、それに必要な用具類の提供を行っています。
アブラヤシから採れるパーム油は、世界的にも需要が急速に高まっています。しかしその多くは、アジア地域で森林を伐採して造られた大規模なプランテーション農場により生産されており、環境破壊や人権侵害などの問題につながっているのです。
■活動②:石鹸生産の訓練
中央カサイ州のコミュニティ施設で実施している二つ目の活動が、地元のアブラヤシから抽出したパーム油を原料とする石鹸作りの訓練です。
石鹸作りは同州のカナンガでも実施しており、現在も、受益者の方々がグループで生産販売を継続して行っています。ここディンべレンゲでは、カナンガでのノウハウも使いながら、初の地元産石鹸が出来上がる予定です!
ちなみに、周辺の都市部では、中国など海外から輸入された石鹸を購入しています。それらの多くは、熱帯林を破壊して造った大規模なプランテーション農場から生産したパーム油を使用している可能性が極めて高いです。
このプロジェクトでは、持続可能なパーム油を原料とする石鹸を生産・販売することで、貧困層の人々の収入源を確保するだけでなく、環境に配慮したビジネスの起業も期待できます。
■二つの村の和平実現に向けて
現在、中央カサイ州ディンべレンゲ地区の二つの村で、UNDPとの協働事業を実施しています。バクアカニンガ村では、市場の整備と洋裁訓練(マスク作り)を、バクアンダエ村では、診療所とコミュニティ施設の整備、油ヤシの加工と石鹸作りを行っています。
この地域では、ダイヤモンドが採掘できる場所が点在しており、この二つの村の間では、森の所有権をめぐって紛争が続いていました。双方の村々でのバランスを考えながら事業を実施するとともに、この事業を通して、両村の和解促進と紛争の停止につなげることも、今回のプロジェクトの大きな目的です。
紛争を止めることは簡単ではありませんが、これまで両方の村々の村長やリーダーたちともコミュニケーションを取りながら、この事業を進めてきました。幸い、その期間中、大きな衝突は回避できています。
そして、2022年6月、両村でそれぞれ生産している石鹸とマスクを、双方の村人たち2000名に供与する予定です。お互いに、それぞれ生産したモノを交換し、分け合うことで、一つの和解促進につなげていきます。
和平が実現し、双方の人々が最低限の暮らしを取り戻せるように、これからも様々なアプローチを駆使しながら、活動を続けていきます。
報告/
理事長・海外事業部長 小川真吾
テラ・ルネッサンスは、ウクライナの難民(避難民)の方々への食料・日用品の支給、炊き出し拠点の設置等の緊急支援だけでなく、避難生活が長引くことを鑑み、難民(避難民)等の生計向上のための支援も実施することを決定しました。
そのため、隣国ハンガリー・ブダペスト市に事務所を開設し、腰を据えた中長期的な支援活動を開始します。
同時に、弊会の活動地であるコンゴ民主共和国(以下コンゴ)を含む、ウクライナ以外の国・地域の紛争や、その影響を受ける人々の「いのち」が忘れられるという状況は、決してあってはなりません。
なぜなら、紛争で奪われる「いのち」や「暮らし」に、区別はないからです。
そこで、20年以上もの間紛争が続き、多数の方々が人権侵害や貧困に苦しんでいる、コンゴの紛争被害者の支援も強化することにしました。
これらの活動経費として、7月31日までに4,000万円のご寄付の呼びかけを開始します。
現地の最新状況、支援報告は、ウェブサイト、SNSを通じて随時発信していきます。
皆さまのご理解・ご協力を、どうぞよろしくお願い申し上げます。