【活動レポート:コンゴ】ついに新たな診療所での治療が始まります!
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コンゴの中央カサイ州では、2016年8月頃から紛争が始まり、少なくとも数千人以上の方々が死亡、約100万人の方々が国内避難民になりました。そして、このカサイ地域では、紛争により約600の診療所と学校が破壊されました。
そこで、2021年9月から開始したUNDPとのパートナー事業「洪水とコミュニティ間紛争の被害を受けたコミュニティに対する強靱な回復力および安定性の強化を通じた早期回復の支援プロジェクト」では、コミュニティの診療所建設・整備を進めてきました。
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それまで利用されていた診療所は、設備や建物が本当にぼろぼろの状態で、下痢やマラリアになっても、治療ができない状況でした。本来、これらの病気は治療が可能です。しかし、元々の栄養状態が悪くて抵抗力の弱い、特に0歳から5歳児の乳幼児の子どもたちは、マラリアに感染して、重症化して命を落とすということが起こっていました。
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これまで利用されてきた診療所の様子
今月、新たに建設された診療所の完成セレモニーが開催され、ついに診療所が地元の方々に引き渡されました!セレモニーには大勢の村人たちが集まり、建設時にCash for Workに参加していた女性たちは、喜びと達成感でいっぱいの様子でした。
*Cash for Work:災害や紛争の影響を受ける人々を対象に、コミュニティに貢献するような仕事 (work) を提供し、その対価として現金 (cash) を給付する形の支援
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セレモニーでのテープカットの様子
テープカットと鍵の引き渡しが行われた後、前の診療所で療養していた女性たちが、新しい診療所へと移動しました。赤ちゃんを出産して1週間ぐらいの女性や、子どもがマラリアに感染している女性たちは、これからようやく、まともな診療所で治療を受けられるようになります!
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ただし、まだまだ安心できる状況ではありません。新たな診療所の所長は、セレモニーの後、この地域の医療の現状について、このように話します。(一部抜粋)
「子どもたちは様々な病気にかかっており、薬不足により、マラリアや腸チフスが特に深刻です。もう一つの問題は、ガソリン代が高くなり、薬を運搬できないことです。自前のバイクもなく、10km、100km離れた場所に薬をとりに行くこともできません。通信機器も不十分で、連絡を取り合うことも難しくなっています。政府からの薬の支給はごくわずかで、かつ種類も限られています。」
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現在、ここコンゴでも、ウクライナ危機の影響により、物価が急激に高騰しています。ガソリン価格の高騰も、治療薬などの輸送にとって大きな痛手となります。ここは政府が運営する診療所となりますが、政府からの支援にも限りがあるため、この診療所がこの村で持続的に機能するように、これからもモニタリングを続けていきたいと考えています。
■食糧不足に追い打ちをかける物価の高騰
現在、世界全体で、53カ国の約1億9000万人の方々が深刻な食糧不足に陥っていると言われています。そして、その53カ国の中で最も食糧不足が深刻なのが、実はこのコンゴ民主共和国です。
そのコンゴ民主共和国の中でも、この中央カサイ州は、紛争の影響によりコンゴの中でもより脆弱な状況に置かれています。ほとんどの方が一日一食食べれるか食べれないかという状況で、カサイ地域では0歳から5歳児の子どもたち約77万人が、深刻な栄養失調に陥っています。
そして、2020年からのコロナ禍と、2022年のウクライナ危機による食料、日用品、ガソリン価格の高騰が、人々の生活をさらに困窮させています。メディアからは注目されていませんが、今もここでは、基本的なニーズも満たせない方々がたくさん暮らしています。
貧困層の方々が、自給食料と現金収入からの購入とで十分な食料を確保するために、そしてそのために必要な収入・生計を維持できるように、これからテラルネッサンスも中長期的なサポートを続けていきます。
報告/
理事長・海外事業部長 小川真吾
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テラ・ルネッサンスは、ウクライナの難民(避難民)の方々への食料・日用品の支給、炊き出し拠点の設置等の緊急支援だけでなく、避難生活が長引くことを鑑み、難民(避難民)等の生計向上のための支援も実施することを決定しました。
そのため、隣国ハンガリー・ブダペスト市に事務所を開設し、腰を据えた中長期的な支援活動を開始します。
同時に、弊会の活動地であるコンゴ民主共和国(以下コンゴ)を含む、ウクライナ以外の国・地域の紛争や、その影響を受ける人々の「いのち」が忘れられるという状況は、決してあってはなりません。
なぜなら、紛争で奪われる「いのち」や「暮らし」に、区別はないからです。
そこで、20年以上もの間紛争が続き、多数の方々が人権侵害や貧困に苦しんでいる、コンゴの紛争被害者の支援も強化することにしました。
これらの活動経費として、7月31日までに4,000万円のご寄付を呼びかけています。
現地の最新状況、支援報告は、ウェブサイト、SNSを通じて随時発信していきます。
皆さまのご理解・ご協力を、どうぞよろしくお願い申し上げます。